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第2話   待ち人来ず

カホが召喚されたのは5日前。

リオンと出会って入れ替わってから目が覚めたのは、当日から3日後。


「じゃあ、私がレナンさんに初めて会ったのは、リオンと入れ替わってから3日も経っていたの?」


レナンと出会って2日目の昼食時に聞かされたカホは、驚いた。

「そうなんだよ。リオンも他人の体に魂を交換したから、どうやらあの研究室で倒れていたようなんだ。俺と今は仕事で城に行っているけれど、パートナーのバーシスは、仕事で家を空けていた。

この屋敷の管理をしている執事から、リオンの行方が分からないと連絡が来て、俺が駆け付けた時に、あの子は、荷物を馬に乗せているところだった」

「・・・・」


「初めはスタイルのいい美人さんが、何故我が家の馬に荷物を乗せているのか詰め寄ったんだよ。

そうしたら、リオンが白状した。

研究室で倒れている自分の体と入れ替わった君の様子を頼まれているうちに、あの子はそのまま逃げた」

肩を竦める彼に、カホは頷いた。


「あの子がフォルティーという伝説の騎士と言われている男に憧れを持ったのは、2年前でね。

城に俺に会いに来た時に、あの可愛い容姿のせいで誘拐されそうになった。

そこを彼に助けられたことがきっかけなんだ」

「はあ・・、それと私の体と何の関係なんでしょうか?」


「前もって話すけど。君は異世界から召喚されて来たから、同じ世界観なのかは分からないけれど。

この国は、同性でも結婚出来る。俺も同じで、パートナーは男だ。」

「ええ・・、そうなんですか」

ティーカップを両手に持ち、カホは目を瞬かせる。

苦笑しながらレナンは、話を続けた。


「憧れがいつの間にか恋愛になったようなんだ。

父親くらいの年齢の男にすっかり上せてしまってね。

2週間前に、1年ぶりに彼が戻ってきたものだから、会いに行ったけれど

彼は男女どちらも美人系の人間が好きだとかで、可愛いあの子は眼中になかったという話で、

振られたそうなんだ」


「はあ」


「その先は、なんとなく分かるだろう?

何を考えているのだか。異世界から彼の理想の人間を召喚し

入れ替わる気満々で、君を呼び出したというのがあの子から聞いた話だ」

話し終わるレナンの前で、カホは大きくため息を吐いた。


「そう。私は他人の恋の為に、勝手に呼ばれて勝手に体を取られたわけね」

「はははは」

「笑い事じゃないです。もう!私の体~。あ・・もしかして上手くいった場合はどうするの」

「え・・はははは」

「はははじゃない」


ムッと頬を膨らませると、レナンは苦笑する。

「リオンの顔で睨まれても、居なくなったという実感は沸かないなあ。

とにかく探しには行けないから。待つしかないよ。リオンが出て行ってから既に2日。

フォルティーも王の勅命で、出立している。彼は半年後に戻ることになっているから。

遅くとも半年後には会えるかと」

「半年~」

ますます怪訝な顔になるカホに、気を効かせるつもりで執事は、デザートを侍女に運ばせたのだった。





その後はリオンの部屋に案内され、リオンとして生活を余儀なくされた。

「姿はリオンですが、中身はカホさんなので、屋敷内はカホさんとして扱い、

屋敷から外に出るような時は、リオンということにさせて頂いてもいいですか?」


「そうよね。この容姿で突然別の名前だと、皆も困るわよね。分かったわ、リオンになりきるわ」

「普段からリオンのフリをしてくれるということだね。」

カホが頷くと、レナンも頷く。

「では、こちらの執事のリトーリに屋敷のことは任せよう。カホのこと、頼む」


後ろで控えていた執事は、にっこリと笑い頭を下げた。

「畏まりました」



その様子は、まさしく昔のヨーロッパの一幕のよう。

(はあ~、執事がいるなんて、凄い世界だわ。)





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