登場人物・第1話 入れ替わる
異世界トリップファンタジー BL NL 何でもアリなお話
登場人物
上坂 カホ (コウサカ カホ) 22歳 女性。 茶髪 茶目
身長 164cm
容姿は特別かけ離れた美人でなく、普通に美人。
ひとり暮らしが長いので、料理関係はバッチリ。
苦手は掃除。
趣味は、弓道と合気道。あまり力を使わなくてもいい運動が得意。
職業 服飾デザイナー
リオン・ラセンティス 30歳 (見た目10代)男の子。 金髪 碧眼
ほわほわな天使のイメージ
本人は自分が嫌。身長 150cm
好きな男性がいて、女性になりたがっていた。
バーシス・ラセンティス 77歳(見た目20代後半) 男性 黒髪 茶目
身長 2m 魔術も使える王都の騎士 W隊 隊長
リオンの父親役
同性婚で相手はレナン
レナン・ラセンティス 75歳(見た目20代後半) 男性 金髪 茶目
身長180cm 魔術も使える王都の騎士 W隊 副隊長
リオンの母親役
リオンは亡き姉の子。養子にしている。
フィルティオ・レドニイル (通称名 フォルティー・伝説の騎士さま)
80歳(見た目20代後半)男性 黒髪 蒼目
身長185cm いろいろと伝説を持っている謎の魔術師。騎士としても戦える。
ラプーシアを拠点に放浪中。あちこちで浮名が絶えない。
有名な騎士として名が通っている。本人は全く無沈着。
リオンの想い人。
世界観
世界は7つの国で出来ている。
主人公カホのいる国は、その1つ海沿いの国 ラプーシア。
同性婚もあり。魔法あり。両性、人魚に騎士と何でもありな世界。
寿命は、種族ごとに違うが、大抵は300歳平均。150歳位が日本でいう40歳代。
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それは突然のことだった。
「え?何・・」
ドドーンと、大きな音がしたと思ったら、上坂カホ(コウサカ カホ)はまっさかさまに下へ落とされた。
丁度、仕事部屋で自分のデザインを形にしようと、デザインノートを脇に挟んで
服飾の道具一式の箱を持ち上げた時にだ。
床は確かにあったはずなのに、ぽっかりと黒い穴が足元に出来ていて
広がっていく様に驚き
「きゃあああ~」
気が付いて声をあげ足が竦んだその時には巻き込まれていた。
黒い穴が大きくてもがくことも適わず体が沈みつつあるのに、道具だけはしっかりと持ち抱えていて
それでも恐怖の為に目を瞑った。
ドタンと、音を立てて転がって落ちた先は、石造りの部屋。本や紙が散らばっている。
持っていた道具箱を手元から地面に置き、体を起こすと、周囲は
ヨーロッパ辺りの映画に出てきそうな
古い建物の一室だった。
「え?ここは・・」
不思議な感覚で見渡すと、自分よりも少し離れた場所でひっくり返っている人間が目の前にいた。
ひっくり返っていた可愛らしいほわほわな天使を思い浮かべそうな容姿の金髪碧眼の子は、
慌てて立ち上がりつつも、カホを見て呆けている。その顔さえ可愛らしい。
見た目は13,4歳。中学生くらいだ。
「あの、ここはどこですか?」
言葉通じるかな?英語がいいかな?なんてカホは考えながらも、相手よりも年上だからと
冷静になり尋ねてみる。
箱の上に手を置いたカホは、彼なのか彼女なのか分からないが、可愛らしい金髪碧眼の天使を見つめた。
天使のような子は驚いていた顔から、徐々に嬉しそうな顔へと変わる。
「ぼ、僕、成功したんだ」
動揺していた彼は、立ち上がるとぴょんぴょん跳ねて喜びだす。
(あ、僕って言ってる。男の子なんだ。凄い可愛い。女の子みたいだ。凄い喜んでるけど・・・)
「ま、待って。喜んでいる最中だけど。もしかして、私を呼んだのは貴方?」
「そうだよ。フォルティー様の理想を思い浮かべて召喚したのは、僕だよ」
「え?フォルティー様?召喚?どういうこと?」
疑問を浮かべているカホを無視し、カホの前まで歩みよりにっこりと笑顔を作る。
「え?何?」
「協力お願いします」
「なんの?」
何がなんだかわからないまま、急に体が硬直し、身動きが出来ないカホは
彼に両手をぎゅっと握りしめられ気を失ってしまった。
彼女が次に気が付いた時、心配そうな大人の男性の顔があった。
20代後半の優しげな顔。先ほどの天使のような金髪の少年が大人になったようなイケメンだ。
「大丈夫かい?」
「はい」
ゆっくりと上半身を起こして、周囲を見渡す。
見るもの全て先ほどの部屋のまま。
次にその男性をじっと見つめると彼は申し訳なさそうにため息を吐いた。
「すまないな。君を呼んだ張本人は、もう行ってしまったよ」
「あの、すみませんが、まったく話が見えません。最初からお話しして頂けませんか?」
今の状況が全く分からないカホが、説明をして欲しくて声を荒げる。
だが、おかしいことに気付いた。
声が澄んだ可愛らしい声。とても自分の以前の女性らしくなく、とても中性的な。
両手を見て目を見張り、自分の出で立ちを確認しながら首を傾げる。
(なんだろう。手が小さくなった気がする。体もなんだかおかしい。服装も違う)
「そうだな。順を追って話すよ。まずは、俺はレナン・ラセンティス。君は、俺の息子に野望の為だけに異世界から召喚させられた。息子と言っても、姉の子なんだけど。その子の名前は、リオン」
「い、異世界?」
「そう。君の本来の姿は、あの子の憧れる男性の理想の女性だった。だから、君を召喚し、その・・」
言い難そうにする男性は、手鏡を彼女に手渡してくれた。
その手鏡を覗いて、「ひっ」と声を上げ、カホは驚いて手鏡を危うく落としそうになる。
「わ、わ、私が金髪の天使になってる」
手を顔に添えながら、髪を引っ張ったりして試してみるが、痛みを感じる。
自分の顔とは到底違うつくり。
「天使かどうかは、別として。君の体を乗っ取って、あの子は憧れの男を追いかけて行ってしまったんだよ」
ため息を吐きながら男性は、カホを見つめる。
「ええ~、なんですって~」
(私の体で?)
「ちなみに、そのリオンが荷物抱えて行くところをすれ違ったのだけれど、君はかなりスタイルのいい女性なんだね」
申し訳なさそうな顔から一遍、ニヤリと笑う顔に彼女は、近くにあった紙束を投げつけた。
「どうしてくれるのよ。貴方の息子なんでしょ?私の体返して。貴方の子を連れ戻して」
(天使の顔して、男なんて嫌。どうせなら、逞しい男らしい方がいいじゃない。これじゃあ、女の子と間違われそうで、嫌。22年間の慣れ親しんだ私の体~)
涙目で訴えたものの、男性は投げられた枕を片手に
「すまない。あいつは魔術師で、腕が立つ。追えなかったんだ。あいつが、憧れの男に振られて泣いて戻るまで待ってくれないか?」
「はあああ?」
男性の申し出に、カホはどうしようも出来ないことを悟って、その場に倒れた。
意識を飛ばしたわけでなく、何とも言えない脱力感で。
(私の体・・・)