7-3
教室の外で待っていたらしいシャノンとリリアが、廊下に出てきたまふゆたちに合流する。
「まふゆん!お昼にしよー!」
B組の教室から来たのだろう、リリアがぱたぱたと駆け寄ってきて、まふゆの腕に楽しそうに絡みついた。
その隣では、シャノンが腕を組んで壁に寄りかかっていたが、一行に気づくと少し気まずそうに視線を逸らした。
「……別に、あんたたちを待ってたわけじゃないんだからね。たまたま通りかかっただけ」
クーデレ特有の素直じゃない言葉に、セリウスがやれやれと肩をすくめる。
「はいはい、分かってるよ、シャノン」
「なによ、その言い方!ノセのくせに生意気よ!」
いつものようにじゃれ合う二人を横目に、リリアがまふゆの顔を心配そうに覗き込んだ。
「まふゆん、なんか顔色悪くないー?大丈夫?」
「う、うん。大丈夫やで、リリアさん。ありがとう」
さっきのエドウィンとの一件を思い出し、まふゆは曖昧に微笑んだ。
その表情の翳りを見逃さなかったリリアは、何かを察したようにきゅっと眉を寄せたが、それ以上は何も聞かず、明るい声で言った。
「そっか!じゃあ食堂行こ!あーし、お腹ぺこぺこー!」
そうして、六人は賑やかな食堂へと向かい始めた。
「うわっ、今日のデザート、新作のプリンじゃん!ラッキー!」
「リリア、取りすぎじゃないか?メインの前にデザートでお腹いっぱいになっちまうだろ」
「は、はうっ!レオンハルト様は少食の子が好き……?」
「お、俺か!?そ、そうだな……でも美味しそうに食べる子は、いいと思うぞ」
はしゃぐリリアと、呆れながらも優しい眼差しを向けるレオンハルト。
シャノンは好物の魚料理を黙々と皿に盛り、セリウスはバランスを考えながらサラダやスープを選んでいる。
ミカゲはというと、これまで食事に興味を示すことなどなかったはずが、デザートコーナーの前で足を止め、じっと甘味の数々を見つめていた。
その視線が、クレープに似た生地にクリームが挟まれた菓子に注がれていることに、まふゆだけが気づいていた。
「ミカゲさん、それ、食べる?」
まふゆが小声で尋ねると、ミカゲは一瞬だけこちらに視線を向け、こくりと静かに頷いた。
まふゆがにこりと笑ってその菓子を一つ、ミカゲのトレーに乗せてあげる。
「……ありがとう」
ぽつりと呟かれた感謝の言葉に、まふゆの胸が温かくなる。
それぞれが料理を取り終え、六人掛けのテーブル席に着くと、ようやく落ち着いた空気が流れた。
「それにしても、あの襲撃、一体何だったのかしらね」
シャノンがポツリと呟いた言葉に、場の空気がわずかに緊張する。
「エドウィン先生は地脈の乱れだって言ってたけどー……」
「原因はともかく、けが人も少なくて済んだのは不幸中の幸いだったな」
レオンハルトがそう言って場を締めくくろうとするが、まふゆの心は晴れない。
(やっぱり……あれは白檻会がやったんかな……?)
その疑問を口に出せないもどかしさが、胸に重くのしかかる。
そんなまふゆの様子を察してか、セリウスが話題を変えるように言った。
「そういえば、延期になっていた昇級試験だけど、今日の放課後から再開するみたいだよ。僕たちはどうする?」
その言葉に、全員の視線がレオンハルトに集まる。彼はニヤリと笑うと、自信に満ちた声で言った。
「決まってるだろ。準備はできてる。今日の放課後、さっさと受けてFランクに上がっちまおうぜ」




