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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第一話 少女は学園へと入学する
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1-6




「では、お互いのことを知るためにも、簡単な自己紹介をしてもらおうか。名前と種族、それから意気込みなどを一言ね」


エドウィンが穏やかにそう言うと、一番前の席の生徒から順番に自己紹介が始まった。

そして、すぐにレオンハルトの番が来る。彼はがたりと椅子を引いて立ち上がった。


「俺はレオンハルト・アルヴァレイン。人間だ。この学園で様々な種族の奴らと切磋琢磨し、互いに高め合えるような関係を築きたいと思っている。一年間、よろしく頼む!」


王族の出自を明かさず、しかし堂々としたその挨拶に、クラスの何人かから「おぉ…」と感嘆の声が上がる。


続いて、セリウスが静かに立ち上がった。


「セリウス・アルヴァレインです。……種族は、ハーフエルフ。兄と同じく、皆さんと有意義な学園生活を送りたいと思っています。よろしくお願いします」


ハーフエルフ、という言葉に教室がわずかにざわめく。しかし、セリウスはそれを意に介する様子もなく、静かに着席した。




何人かの自己紹介が続き、いよいよまふゆの番がやってきた。

周囲の視線が一斉に自分に集まるのを感じ、まふゆは少し緊張しながらも、ゆっくりと席を立つ。


「えっと……水鏡まふゆ、いいます。桜の国から来ました。種族は、アルビノエルフです。治癒術が得意なので、皆さんの力になれたら嬉しいです。よろしゅうお願いします」


まふゆがぺこりとお辞儀をすると、教室は一瞬しん、と静まり返った。アルビノエルフという希少さに加え、その美しい容姿と言葉遣いの柔らかさに、皆が息を飲んだのだ。

教壇に立つエドウィンの緑の瞳が、再びうっとりと細められる。


そして、まふゆの後ろの席から、ミカゲが音もなく立ち上がった。


「……ミカゲ。影人(アンブラル)だ。それ以外に話すことはない」


それだけをぼそりと告げると、彼はすぐに着席してしまった。あまりの簡潔さと愛想のなさに、クラスはまた別の意味でざわつく。


その次に立ち上がったのは、小柄な少女だった。桜色の髪に、ぴんと立った猫の耳。少し不機嫌そうに腕を組み、つんとした態度で口を開く。


「……シャノン。猫族の獣人。……別に、馴れ合うつもりはないから。足手まといになるやつは嫌い。それだけ」


ぶっきらぼうにそう言うと、彼女はすぐにどさりと席に座ってしまった。その金色の瞳が、ちらりとまふゆの方を向いたような気がした。




自己紹介が一通り終わると、エドウィンはにこやかに頷いた。


「ありがとう。個性豊かな面々が揃ったようで、私も楽しみだよ。さて、ホームルームはここまで。すぐに一限目の授業が始まるから、準備をしておくように。一限目は……そう、私、エドウィンの古代魔術史だ。光栄に思ってくれていいよ」


彼はそう言って悪戯っぽく片目をつむぐ。その仕草に、また女子生徒たちが小さく沸いた。


まふゆは鞄から真新しい教科書と筆記用具を取り出す。


「いきなり担任の授業か。古代魔術史……俺たち人間にはあまり関係ない分野だが、知識として損はないか」


レオンハルトが腕を組みながら言う。


「そんなことないよ、兄さん。魔術の歴史を知ることは、対エルフ族や魔術を使う相手との戦い方を考える上で重要だから。それに……」


セリウスがそこまで言いかけて、ちらりとまふゆを見た。


「……魔術の成り立ちを知ることは、あらゆる種族の歴史を知ることにも繋がるからね」


まふゆがこくりと頷くと、セリウスは少しだけ表情を和らげる。




チャイムの音が学園に響き渡り、教室の空気が引き締まる。

エドウィンは教壇の中央に立ち直すと、先ほどまでの柔和な雰囲気をすっと消し、教師の顔つきになった。


「では、授業を始める。諸君、魔術とは本来、何のために生まれたと思う?……そう、そこに座っている水鏡まふゆ君のような、エルフ族だけが使える特別な力。その起源は、遥か神話の時代にまで遡る……」


エドウィンは流れるような口調で語り始める。その視線が、授業中も何度も、ねっとりとまふゆに向けられていることに、彼女自身はまだ気づいていなかった。




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