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学園都市と呼ばれるこの街は、その名の通り、王立特異能力者統合学園を中心に発展した場所だ。
石畳で舗装された大通りには、様々な種族が営む店が軒を連ね、活気に満ち溢れていた。
武器屋の店先で剣を眺めるドワーフ、薬屋でハーブを選ぶエルフ、カフェのテラスで談笑する獣人たち。
見るものすべてが新しく、まふゆの目は好奇心できらきらと輝いていた。
「うわあ……!すごい活気やな……!」
学園の中とはまた違う、自由で賑やかな空気に、まふゆは思わず声を上げる。
道の両脇に並んだ露店からは、香ばしい匂いや甘い香りが漂ってきて、食いしん坊なまふゆのお腹を優しく刺激した。
(食べ歩きとか、してみたいなあ……)
焼きたてのパン、串に刺さったジューシーな肉、色とりどりの果物。
どれもこれも美味しそうで、自然と足がそちらへ向きそうになる。
「ははっ、まふゆはそっちが気になるか?だが、まずは今日の目的を済ませてからだ」
レオンハルトが、まふゆの心を読んだように笑いながら言った。今日の目的は、昇級試験に向けた装備や道具を揃えることだ。
「そうだよ、まふゆ。買い物は計画的にしないとね。浮かれてると、すぐにお金がなくなってしまうから」
セリウスも、優しくまふゆを諭す。
「えへへ……堪忍ね。あんまり賑やかやから、つい……」
まふゆは少し恥ずかしくなって、頬を掻いた。
「いーじゃんいーじゃん!あーし、あそこのクレープ食べたーい!」
リリアは既に露店に心を奪われているようだ。
「あんたは食い意地張りすぎ。まずは武具店でしょ」
シャノンが呆れたようにリリアの首根っこを掴む。
ミカゲは、そんなやり取りには加わらず、ただ静かに周囲を警戒するように視線を巡らせていた。
その目は、楽しげな街の風景ではなく、群衆の中に不審な影がないかを探しているように見える。彼の警戒心は、この平和な時間にあっても緩むことはないのだ。
「よし、それじゃあまずは大通り沿いにある一番大きい武具店に行こう。品揃えもいいはずだ」
レオンハルトの先導で、六人は賑やかな人波をかき分けるようにして歩き出した。
まふゆは、自分の少し前を歩くレオンハルトとセリウスの頼もしい背中、隣で楽しそうに喋るリリアとシャノン、そして、すぐ後ろからついてきてくれるミカゲの気配を感じながら、言いようのない安心感に包まれていた。
(ああ、ほんまに楽しみや……!)
食べ歩きは後のお楽しみにとっておこう。
今は、この仲間たちとの初めての街歩きを、存分に楽しむことに決めた。




