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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第五話 少女は初めて街に繰り出す
68/125

5-3




学園都市と呼ばれるこの街は、その名の通り、王立特異能力者統合学園を中心に発展した場所だ。


石畳で舗装された大通りには、様々な種族が営む店が軒を連ね、活気に満ち溢れていた。


武器屋の店先で剣を眺めるドワーフ、薬屋でハーブを選ぶエルフ、カフェのテラスで談笑する獣人たち。


見るものすべてが新しく、まふゆの目は好奇心できらきらと輝いていた。




「うわあ……!すごい活気やな……!」


学園の中とはまた違う、自由で賑やかな空気に、まふゆは思わず声を上げる。

道の両脇に並んだ露店からは、香ばしい匂いや甘い香りが漂ってきて、食いしん坊なまふゆのお腹を優しく刺激した。


(食べ歩きとか、してみたいなあ……)


焼きたてのパン、串に刺さったジューシーな肉、色とりどりの果物。

どれもこれも美味しそうで、自然と足がそちらへ向きそうになる。


「ははっ、まふゆはそっちが気になるか?だが、まずは今日の目的を済ませてからだ」


レオンハルトが、まふゆの心を読んだように笑いながら言った。今日の目的は、昇級試験に向けた装備や道具を揃えることだ。


「そうだよ、まふゆ。買い物は計画的にしないとね。浮かれてると、すぐにお金がなくなってしまうから」


セリウスも、優しくまふゆを諭す。


「えへへ……堪忍ね。あんまり賑やかやから、つい……」


まふゆは少し恥ずかしくなって、頬を掻いた。


「いーじゃんいーじゃん!あーし、あそこのクレープ食べたーい!」


リリアは既に露店に心を奪われているようだ。


「あんたは食い意地張りすぎ。まずは武具店でしょ」


シャノンが呆れたようにリリアの首根っこを掴む。


ミカゲは、そんなやり取りには加わらず、ただ静かに周囲を警戒するように視線を巡らせていた。


その目は、楽しげな街の風景ではなく、群衆の中に不審な影がないかを探しているように見える。彼の警戒心は、この平和な時間にあっても緩むことはないのだ。




「よし、それじゃあまずは大通り沿いにある一番大きい武具店に行こう。品揃えもいいはずだ」


レオンハルトの先導で、六人は賑やかな人波をかき分けるようにして歩き出した。


まふゆは、自分の少し前を歩くレオンハルトとセリウスの頼もしい背中、隣で楽しそうに喋るリリアとシャノン、そして、すぐ後ろからついてきてくれるミカゲの気配を感じながら、言いようのない安心感に包まれていた。


(ああ、ほんまに楽しみや……!)


食べ歩きは後のお楽しみにとっておこう。

今は、この仲間たちとの初めての街歩きを、存分に楽しむことに決めた。




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