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約束の時間より少し早く、まふゆは学園の壮麗な正門前に到着した。
休日の朝ということもあって、行き交う生徒の姿はまばらだ。
朝日を浴びてきらきらと輝く噴水をぼんやりと眺めながら、まふゆは仲間たちが来るのを待っていた。
そわそわと落ち着かない気持ちを誤魔化すように、ショルダーバッグの紐をぎゅっと握りしめる。
(一番乗りやったかな……?)
そう思った矢先、よく知った声が背後から聞こえた。
「よう、まふゆ。早いな」
「おはよう、まふゆ。今日の服、とてもよく似合っているね」
振り返ると、そこにはレオンハルトとセリウスが立っていた。
二人とも制服ではなく、動きやすそうな私服姿だ。
レオンハルトはラフなシャツ、セリウスは落ち着いた色合いのジャケットを着ていて、普段とは違う雰囲気に少しどきりとしてしまう。
「レオンハルトさん、セリウスさん、おはよう!その、おおきに……!」
セリウスの言葉に、まふゆは顔を赤くしながら俯いた。
「まふゆん、おはよー!ごめん、待ったー?」
「あんたが準備に時間かけすぎなのよ」
少し遅れて、リリアとシャノンもやってきた。
リリアは流行りを取り入れた華やかな服装で、シャノンはボーイッシュなパンツスタイルだ。
「リリアさん、シャノンさん、おはよう。ううん、うちも今来たとこです」
これで五人。あと一人。
まふゆがキョロキョロと辺りを見回していると、ふっと背後に人の気配が現れた。
「……」
音もなく、まるで影から現れたかのように、ミカゲがそこにいた。
彼もまた、いつもと同じ黒を基調とした服装だが、口布はつけておらず、その整った顔立ちが露わになっている。
「……っあ、ミカゲさん!おはようございます!」
驚きながらも挨拶すると、彼はこくりと小さく頷いた。
その静かな黒曜石色の瞳が、じっとまふゆの姿を見つめている気がして、また心臓が小さく跳ねる。
「よし、全員揃ったな!」
レオンハルトがパン、と手を叩く。
「それじゃあ、行くとしようか!初めての街へ!」
彼の明るい声に、皆がそれぞれの形で応える。
まふゆは、大切な仲間たちに囲まれながら、学園の外へと続く石畳の道を、期待に胸を膨らませて踏み出した。
ここから始まる新しい一日に、心が躍るのを止められなかった。




