5-1
そして次の日。
澄んだ鳥のさえずりが、窓の外から聞こえてくる。
差し込む朝の光に目を細めながら、まふゆはゆっくりと体を起こした。
「ん……朝……?」
ぼんやりとした頭で周囲を見渡す。見慣れた自室の光景。
昨夜はあれだけ興奮してなかなか寝付けなかったのに、不思議と体は軽く、すっきりと目覚めることができた。
(……寝坊、せんでよかった……!)
壁にかけられた時計の針が示している時刻を確認し、まふゆはほっと胸をなでおろす。集合時間まではまだ十分に余裕があった。
「よしっ!」
ぱん、と軽く自分の頬を叩いて気合を入れると、まふゆはベッドから飛び起きた。
今日は待ちに待ったお出かけの日だ。
クローゼットを開け、昨日夜な夜な悩んで選んだ服を取り出す。
いつもの装束ではなく、動きやすさを重視したシンプルなワンピース。
色は淡い水色で、裾にはささやかな花の刺繍が施されている。これは学園に来てから、購買部で買ったものだ。
「うん、これなら……大丈夫やんな」
鏡の前でくるりと一回りしてみる。
お洒落に疎いまふゆには、これが似合っているのかどうかはわからない。けれど、新しい服に袖を通すのは、それだけで心が弾むものだった。
髪は、おかっぱの毛先を丁寧にブラシでとかす。目の下の泣きぼくろが、少しだけいつもより主張しているように見えた。
準備を終え、小さなショルダーバッグに必要なものだけを入れる。
昨日、みんなへのお礼に何かできないかと考えたことを思い出し、まふゆは鞄にこっそりと、なけなしのお小遣いを少しだけ多めに入れた。
(みんな、もう起きはったかな……)
窓から外を眺めると、学園の敷地は休日の穏やかな空気に包まれている。
早く会いたい。
その気持ちが、まふゆの足を自然と扉へと向かわせた。
「うん、行こう!」
逸る心を抑えながら、まふゆは自室のドアを開け、約束の場所へと続く廊下へ、軽やかな足取りで踏み出した。




