4-13
その日の夜。
女子寮の自室のベッドに潜り込んでも、まふゆの心はちっとも落ち着かなかった。
(明日、みんなと街に……ふふっ)
目を閉じると、今日の昼間の食堂での賑やかな光景や、放課後の教室でのやり取りが鮮明に思い出される。
レオンハルトの少し強引だけど頼りになる言葉、セリウスの優しい気遣い、シャノンの不器用な優しさ、リリアの明るい笑顔、そして……静かにプリンを差し出してくれたミカゲの姿。
シーツをぎゅっと握りしめる。
嬉しい。ただ、ひたすらに嬉しかった。
エドウィンのことで、ずっと心の奥底に鉛のような重たい不安が沈んでいた。一人になるのが怖くて、夜も物音にびくびくしていた。
でも、明日は違う。
朝からみんなに会える。一緒に街を歩いて、いろんなお店を見て回るのだ。
(何を着ていこうかな……あんまりお洒落な服は持ってへんけど……)
ごそごそとベッドから抜け出し、小さなクローゼットを開ける。
持っている服は、白を基調とした少し動きにくいものばかりだ。学園では服装が自由で助かっているけれど、街歩きとなると少し悩んでしまう。
(やっぱり、動きやすい方がええよね。みんなに迷惑かけたらあかんし……)
あれこれと考えを巡らせているだけで、胸がふわふわと浮き立つような気分になる。遠足の前日の子供みたいだと、自分でもおかしくなって小さく笑った。
(せや。せっかくやし、みんなに何かお礼ができひんかな)
プリンを取ってきてくれたこと。
戦闘訓練で助けてくれたこと。
そして何より、不安な時にそばにいてくれること。
感謝したいことがたくさんありすぎて、どうすればいいかわからないけれど、何かささやかなお返しができたらいいな、とまふゆは思う。
そんなことを考えていたら、あっという間に時間は過ぎていく。
窓の外はすっかり静まり返り、空には月が高く昇っていた。
(あかん、はよ寝な明日寝坊してまう……!)
まふゆは慌ててベッドに戻り、もう一度ぎゅっと目を閉じた。
瞼の裏には、明日笑い合っているであろう仲間たちの顔が浮かんでくる。
高鳴る心臓の音を子守唄代わりに、まふゆは初めての休日に寄せる甘い期待に胸を膨らませながら、少しずつ夢の世界へと落ちていった。
第四話・了




