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そして、待ちに待った昼食の時間。
ようやく今日から新入生も食堂が使えるようになったのだ。
王立特異能力者統合学園の食堂は、まるで王宮の晩餐会会場のように広大で、天井も高く開放感に満ちていた。
様々な種族の生徒たちの活気で満ち溢れるその場所へ、まふゆたち六人は足を踏み入れる。
「わあ……!」
ずらりと並んだ豪華な料理の数々に、まふゆは思わず感嘆の声を漏らした。
焼きたてのパンの香ばしい匂い、じっくり煮込まれたシチューの豊かな香り、色とりどりの新鮮なサラダ。どれもこれも、本当においしそうだ。
「ビュッフェ形式なんや……!どれ取るか迷うなあ……」
まふゆは目をきらきらと輝かせながら、トレーを手に料理の間を行ったり来たりする。
前のクエスト報酬で得た「食堂一ヶ月無料券」のおかげで、気兼ねなく好きなものを好きなだけ選べるのが嬉しい。
「ははっ、まふゆは食いしん坊だな。ほら、そこのローストビーフが美味そうだぞ」
向かいの席に座ったレオンハルトが、豪快に肉料理を皿に盛り付けながら笑う。
「こら、兄さん。まふゆをからかわないでくれ。……まふゆ、あちらの魚介のマリネもさっぱりしていて美味しいよ」
隣のセリウスは、そう言って優雅にサラダを取り分けている。
「まふゆん、デザートもすごいよー!見て見て、このチョコケーキ!」
リリアは既にデザートコーナーに夢中で、大きなケーキを前に目を輝かせている。
「あんた、まだメインも食べてないでしょ。ノセもノセよ、そんな草ばっか食べてて午後の授業もつの?」
シャノンは呆れたように言いながらも、自分の皿にはこんがり焼かれたチキンを山盛りにしていた。
ミカゲは、そんな賑やかな仲間たちの様子を気にするでもなく、必要な分だけを淡々とトレーに乗せると、既に席についていた。彼の席は、まふゆのすぐ後ろ。まるで背後を守るように。
……しばらくして、それぞれが思い思いの料理を手に席へと戻ってくる。
まふゆは悩んだ末に、セリウスおすすめのマリネと、レオンハルトおすすめのローストビーフ、それからほかほかのシチューをトレーに乗せていた。
「いただきます!」
みんなで声を合わせ、食事を始める。
戦闘訓練の後の空腹も相まって、どの料理も格別においしく感じられた。
「んー、おいしい!ここのシェフは腕利きやなあ」
シチューを一口運び、まふゆは幸せそうに頬を緩ませる。
エドウィンの件でずっと張り詰めていた心が、仲間たちとの和やかな食事の時間に、ゆっくりと解きほぐされていくのを感じていた。
不安が消えたわけではない。けれど、こうして笑い合える仲間がいる。それだけで、少しだけ強くなれる気がした。




