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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第四話 少女は司令塔になる
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4-7




やがて、訓練終了を告げる鐘の音が『嘆きの森』に響き渡った。

それは、緊張の糸を張り詰め続けていた生徒たちにとって、救いの鐘のようにも聞こえた。


「────そこまでだ!全員、速やかに所定の位置へ戻れ!」


森中に、ガレオスのよく通る声が響く。

まふゆたちのチームは、最後に対峙していた三体のワイルドボアを仕留めたところで、武器を収めた。


「ふぅ……終わったか」


レオンハルトが額の汗を拭い、息をつく。


「思ったより骨が折れたね」


セリウスも、汚れた服を払いながら苦笑した。


「うう、全然足りないわ……」


シャノンはまだ戦い足りないのか、不満げに唇を尖らせている。


まふゆは、緊張から解放されたことで、どっと疲労感が押し寄せるのを感じていた。


「お、お疲れ様、みんな……」


その場に座り込みそうになるのを、なんとか堪える。

ミカゲは無言でまふゆの隣に立ち、その様子を静かに見守っていた。




……その後、彼らは集合場所である森の入り口へと戻った。


他のチームも次々と集まり、それぞれ疲れた顔をしながらも、どこか達成感を滲ませている。


ガレオスは、筋骨隆々な腕を組み、集まった新入生たちを満足げに見渡した。


「うむ。皆、初陣にしては上出来だ。討伐の証も、各チーム、ノルマは達成しているようだな」


教官が各チームのリーダーから革袋を受け取り、中身を確認していく。

まふゆも、おずおずと自分たちの成果である革袋を差し出した。


「ほう……水鏡のチームか。お前たちのところは、ホブゴブリンまで討伐したのか。大したもんだ」


ガレオスは豪快に笑うと、まふゆの肩を大きな手でバンバンと叩いた。その衝撃で、まふゆの小さな体はぐらぐらと揺れる。


「ひゃいっ……!?」

「リーダーとしての初陣、どうだった?水鏡」

「は、はい……!す、すごく怖かったですけど……皆さんが、助けてくれはって……」

「そうか。だが、お前の指示も的確だったと聞いている。恐怖を乗り越え、仲間を信じて指揮を執る。それがリーダーの第一歩だ。よくやった」


教官からの思いがけない労いの言葉に、まふゆは驚き、そしてじんわりと胸が温かくなるのを感じた。




「本日の戦闘訓練はこれにて終了だ!今日の成果として、各チームにクエストポイントを200ポイントずつ付与する!解散!」


ガレオスの解散の号令と共に、生徒たちの間から「よっしゃあ!」「疲れたー!」という歓声や安堵の声が上がった。


200ポイント。

入学初日のクエストで得た100ポイントと合わせれば、合計300ポイント。これは、Fランクへの昇級試験を受けられる資格を得たことを意味していた。


「やったな、まふゆ!これで昇級試験が受けられるぞ!」


レオンハルトが興奮した様子で言う。


「すごいよ、まふゆん!あたしたちのチームも、ギリギリだったけどポイント貰えたよー!」


B組の訓練を終えたリリアが、駆け寄ってきた。彼女のチームも、無事に訓練を終えられたようだ。


仲間たちの明るい声に囲まれながら、まふゆは自分の手のひらを見つめた。


リーダーとして仲間を率い、強敵を打ち破った。

恐怖はあった。けれど、それ以上に、仲間と力を合わせる心強さと、自分の判断で道を切り拓く達成感があった。


エドウィンの件で塞ぎ込んでいた心が、少しだけ軽くなった気がした。


「……はい!皆さんのおかげです!本当に、ありがとうございました!」


まふゆは、心からの感謝を込めて、仲間たちに深々と頭を下げた。

その顔には、朝までの不安げな表情ではなく、確かな自信と安堵の微笑みが浮かんでいた。




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