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やがて、訓練終了を告げる鐘の音が『嘆きの森』に響き渡った。
それは、緊張の糸を張り詰め続けていた生徒たちにとって、救いの鐘のようにも聞こえた。
「────そこまでだ!全員、速やかに所定の位置へ戻れ!」
森中に、ガレオスのよく通る声が響く。
まふゆたちのチームは、最後に対峙していた三体のワイルドボアを仕留めたところで、武器を収めた。
「ふぅ……終わったか」
レオンハルトが額の汗を拭い、息をつく。
「思ったより骨が折れたね」
セリウスも、汚れた服を払いながら苦笑した。
「うう、全然足りないわ……」
シャノンはまだ戦い足りないのか、不満げに唇を尖らせている。
まふゆは、緊張から解放されたことで、どっと疲労感が押し寄せるのを感じていた。
「お、お疲れ様、みんな……」
その場に座り込みそうになるのを、なんとか堪える。
ミカゲは無言でまふゆの隣に立ち、その様子を静かに見守っていた。
……その後、彼らは集合場所である森の入り口へと戻った。
他のチームも次々と集まり、それぞれ疲れた顔をしながらも、どこか達成感を滲ませている。
ガレオスは、筋骨隆々な腕を組み、集まった新入生たちを満足げに見渡した。
「うむ。皆、初陣にしては上出来だ。討伐の証も、各チーム、ノルマは達成しているようだな」
教官が各チームのリーダーから革袋を受け取り、中身を確認していく。
まふゆも、おずおずと自分たちの成果である革袋を差し出した。
「ほう……水鏡のチームか。お前たちのところは、ホブゴブリンまで討伐したのか。大したもんだ」
ガレオスは豪快に笑うと、まふゆの肩を大きな手でバンバンと叩いた。その衝撃で、まふゆの小さな体はぐらぐらと揺れる。
「ひゃいっ……!?」
「リーダーとしての初陣、どうだった?水鏡」
「は、はい……!す、すごく怖かったですけど……皆さんが、助けてくれはって……」
「そうか。だが、お前の指示も的確だったと聞いている。恐怖を乗り越え、仲間を信じて指揮を執る。それがリーダーの第一歩だ。よくやった」
教官からの思いがけない労いの言葉に、まふゆは驚き、そしてじんわりと胸が温かくなるのを感じた。
「本日の戦闘訓練はこれにて終了だ!今日の成果として、各チームにクエストポイントを200ポイントずつ付与する!解散!」
ガレオスの解散の号令と共に、生徒たちの間から「よっしゃあ!」「疲れたー!」という歓声や安堵の声が上がった。
200ポイント。
入学初日のクエストで得た100ポイントと合わせれば、合計300ポイント。これは、Fランクへの昇級試験を受けられる資格を得たことを意味していた。
「やったな、まふゆ!これで昇級試験が受けられるぞ!」
レオンハルトが興奮した様子で言う。
「すごいよ、まふゆん!あたしたちのチームも、ギリギリだったけどポイント貰えたよー!」
B組の訓練を終えたリリアが、駆け寄ってきた。彼女のチームも、無事に訓練を終えられたようだ。
仲間たちの明るい声に囲まれながら、まふゆは自分の手のひらを見つめた。
リーダーとして仲間を率い、強敵を打ち破った。
恐怖はあった。けれど、それ以上に、仲間と力を合わせる心強さと、自分の判断で道を切り拓く達成感があった。
エドウィンの件で塞ぎ込んでいた心が、少しだけ軽くなった気がした。
「……はい!皆さんのおかげです!本当に、ありがとうございました!」
まふゆは、心からの感謝を込めて、仲間たちに深々と頭を下げた。
その顔には、朝までの不安げな表情ではなく、確かな自信と安堵の微笑みが浮かんでいた。




