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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第三話 少女は狙われる
52/125

3-15




結局、イースターイベントの優勝ペアは、金の卵こそ見つけられなかったものの、銀の卵を二つと他の卵を大量に見つけたC組のペアだった。


教室に戻ったまふゆとミカゲは、レオンハルトたちからの質問を「途中で体調が悪くなって休んでいた」と曖昧に誤魔化すしかなかった。


エドウィンのこと、白檻会のこと、そして魔導機の真実。あまりにも衝撃的な内容は、どこまで話していいのか判断がつかなかったからだ。


ミカゲは何も語らず、ただまふゆの言葉を肯定も否定もせずに聞いていた。その沈黙が、今は何よりも心強かった。




放課後、A組の教室。


今日の全ての授業が終わり、生徒たちが帰り支度を始める喧騒の中、まふゆはじっと自分の席で動けずにいた。


「まふゆん、大丈夫ー?」


ひょっこりと教室の入り口から顔を出したのは、B組のリリアだった。彼女は心配そうな顔でまふゆの席までやってくると、その隣に屈み込んで顔を覗き込んできた。


「顔色、すっごく悪いよぉ?イベントの途中からいなくなっちゃったし、レオンハルト様も心配してたし……」

「リリアさん……ごめんなさい、心配かけて……」

「ううん、それはいいんだけど……。本当は、何かあったんじゃない?」


キラキラした赤い瞳が、まっすぐにまふゆを見つめる。嘘をつけない。でも、本当のことも言えない。

まふゆが言葉に詰まっていると、不意に大きな影が差した。




「まふゆ、帰るぞ」


帰り支度を終えたレオンハルトが、鞄を肩にかけて立っていた。


「顔色が悪い。寮まで送っていこう」

「レオンハルトさん……」

「そうだね。今日はもう休んだ方がいい。僕も一緒に行くよ」


隣の席で静かに様子を窺っていたセリウスも、優しく声をかけてくれる。


そして、まふゆの後ろの席で、ミカゲが静かに立ち上がった。彼は何も言わない。だが、その存在そのものが「俺も行く」と告げているようだった。


「ちょ、ちょっとぉ!あーしも心配してるんですけどぉ!?」


仲間外れにされたと思ったのか、リリアが頬を膨らませる。その様子に、張り詰めていた空気が少しだけ和んだ。


「……みんな、おおきに」


仲間たちの優しさが、恐怖で冷え切った心にじんわりと沁みていく。エドウィンのことは恐ろしい。でも、自分は一人じゃない。




「うち、大丈夫やから。一人で帰れる」


これ以上、みんなを巻き込むわけにはいかない。そう思って無理に笑顔を作ると、レオンハルトがぐっと眉を寄せた。


「駄目だ。大丈夫な奴がそんな顔をするか。いいから、俺たちに任せろ」

「兄さんの言う通りだよ。君は少し、人を頼ることを覚えた方がいい」


セリウスも穏やかだが、有無を言わせない口調で諭す。

シャノンも、いつの間にかそばに来ていて、腕を組んでフンと鼻を鳴らした。


「あんたがフラフラ歩いてて転んだりしたら、見てるこっちの気分が悪いからね。さっさと行くわよ」


有無を言わさぬ仲間たちの気遣いに、まふゆはもう抵抗できなかった。

こらえていた涙が、またじわりと滲む。


「……あり、がと……」


その小さな感謝の言葉は、教室の喧騒にかき消されそうになりながらも、確かに彼らの耳に届いていた。


こうして、まふゆは四人の騎士(と、一人の友達)に守られるように、女子寮への帰路につくことになったのだった。




第三話・了




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