表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第三話 少女は狙われる
45/125

3-8




ミカゲの卓越した気配察知能力は、この卵探しゲームにおいて絶大な効果を発揮した。


並木道での一件の後も、彼はまるで答えを知っているかのように、次々と卵の隠し場所を指し示していく。




「……そこの噴水の裏」

「はいっ!」


「……温室の、一番大きな花の根元だ」

「ありました!今度は赤色です!」


「……時計塔の三階、窓枠の外」

「と、届きました……!」




ミカゲは決して派手に動き回らない。


ただ静かに立ち止まり、目を閉じて意識を集中させるだけ。

そして、ローゼリアが残した微かな魔力の痕跡を辿り、最短距離で次の目標を特定していく。


まふゆは彼の指示に従って卵を回収し、用意された小さな籠の中へそっと入れていくのが役目だった。


最初は緊張でぎこちなかった動きも、次第に慣れてきて、二人の間には阿吽の呼吸のようなものが生まれつつあった。


赤、青、黄色、緑……。籠の中は、あっという間に色とりどりの聖卵で満たされていく。


(すごい……ミカゲさんとおったら、もう全部見つけられそう……)


他のペアが必死に駆けずり回っているのを横目に、まふゆは感心と驚きで胸をいっぱいにしながら、ミカゲの後ろをついて歩いた。




……どれくらいの時間が経っただろうか。


学園の主要な施設をほとんど回り終えた頃、ミカゲの足は敷地の北西の端、普段はあまり生徒が寄り付かない静かな場所へと向かっていた。


そこは、鬱蒼とした木々に囲まれた、古びた石造りの建物が佇む場所だった。建物の荘厳な造りと、少しひんやりとした空気感が、ここが特別な場所であることを物語っている。


「ここは……?」


まふゆが尋ねると、ミカゲが短く答えた。


「霊廟だ。学園の創設者や、歴史に名を遺した者たちが眠っている」

「霊廟……」


そんな神聖な場所にまで卵が隠されているのだろうか。まふゆが辺りを見回していると、ミカゲの視線が霊廟の入り口、重厚な鉄の扉に注がれていた。


「……一番強い気配が、この奥からする」

「一番強い……ってことは、もしかして……」

「ああ。金の卵だろうな」


金の卵。100ポイントが与えられる、最もレアな聖卵。

ごくり、とまふゆは息を呑んだ。それを手に入れれば、きっと優勝は間違いない。




しかし、ミカゲは扉に近づこうとはせず、険しい表情でその場に佇んでいた。彼の様子に、まふゆは不思議に思う。


「ミカゲさん……?行かへんのですか?」

「……妙だ」

「え?」

「ローゼリアの気配に、別のものが混じっている。……これは、あまり質の良くない魔力の気配だ」


ミカゲの瞳が、鋭く細められる。それは、午前中の戦闘訓練で見た、暗殺者としての彼の目だった。


そのただならぬ雰囲気に、まふゆの胸にも緊張が走る。

ただの卵探しゲームではなかったのだろうか。


霊廟の中から漂ってくる、不穏な気配。

二人は、鉄の扉を前に、静かに立ち尽くすのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ