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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第二話 少女は初めてのクエストに挑戦する
33/125

2-15




暫く歩くと、目の前がぱっと開け、円形の広間のような場所に出た。


ランプの光が届く範囲は限られていたが、どうやらここが地下通路の終点のようだ。

広間の中央には、祭壇のような石の台座が一つ、ぽつんと置かれている。


「ここが最深部か……。意外とあっさり着いたな」


レオンハルトがランプを掲げ、周囲を照らしながら言う。壁には古代のものと思われるレリーフが彫られているが、風化が激しく、何の絵なのかは判別できない。


「祭壇……。最後の石版は、あの上にあるのかもしれないね」


セリウスが中央の台座を指差す。そこには何も置かれておらず、ただ分厚い埃が積もっているだけだった。


「えー、何にもないじゃん。もしかしてハズレだったりして?」


リリアががっかりしたような声を出す。


「いや、何かあるはずよ。学園長が何の意味もなくこんな場所を用意するわけがないじゃない」


シャノンが鋭い視線で広間全体を観察している。


ミカゲは繋いだままのまふゆの手をそっと離すと、無言で祭壇へと近づいていく。その慎重な足取りは、まるで罠を警戒しているかのようだった。


離れてしまった手の温もりが名残惜しくて、まふゆは自分の指先をきゅっと握りしめる。


ミカゲが祭壇の天板に触れた、その瞬間。




ゴゴゴゴゴ……!


広間全体が、地響きを立てて激しく揺れ始めた。

壁から土埃がぱらぱらと落ちてくる。


「な、なんだ!?」

「きゃっ!」


突然の揺れに、レオンハルトが体勢を立て直し、リリアが悲鳴を上げた。

セリウスがとっさにまふゆの肩を支える。


「まふゆ、大丈夫かい!?」

「う、うん……!」


揺れが収まったかと思うと、今度は祭壇の向こう側、広間の最も奥の壁が、轟音と共にゆっくりと左右に分かれて開いていく。

そして、その奥から現れたのは……




「なっ……!?」


レオンハルトが息を呑む。


そこにいたのは、石でできた巨大なゴーレムだった。


大きさはレオンハルトの倍以上はあり、ごつごつとした岩の体は見るからに頑強そうだ。

目にあたる部分には、不気味な赤い光が灯っている。


「うそ……試練の番人ってこと!?」


シャノンが警戒の声を上げる。


ゴーレムは、ゆっくりと巨体を持ち上げると、その胸部を開いた。

中には、最後の石版が、まるで心臓のように埋め込まれているのが見えた。


「最後の試練は……謎解きじゃなくて、実戦ってことか……!」


レオンハルトが剣の柄に手をかけ、好戦的な笑みを浮かべる。


「あ、あんなんと戦うん……?」


まふゆは圧倒的な威圧感を放つゴーレムを見上げ、ごくりと唾を飲み込んだ。

今までの謎解きとは訳が違う。本物の命の危険を感じる。


「……まふゆ、下がってろ」


ミカゲが短く告げ、いつの間にか手にしていた黒い短剣を構える。その瞳は、獲物を前にした狩人のように鋭く光っていた。




最後の石版をかけた、初めての実戦が始まろうとしていた。




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