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すると……
まふゆが捧げた水が、古びた木箱の天板に静かに吸い込まれていく。
まるで乾いた砂が水を飲むように、一滴残らず。
注ぎ終えたまふゆがそっと手を離すと、カタリ、と小さな音がして、今まで固く閉ざされていた木箱の蓋がひとりでに持ち上がった。
「わ……!開いた……!」
まふゆが驚きの声を上げるのと、皆が「おぉ!」と感嘆の声を漏らすのは同時だった。
箱の中には、柔らかな紫色の布が敷かれており、その上に静かに横たわる一枚の石版が姿を現す。
それは、図書館で見つけたものと同じ、古代文字が刻まれた石版だった。
「やったな、まふゆ!」
「すごいよ、まふゆん!大正解!」
レオンハルトとリリアが、自分のことのように喜んでくれる。セリウスもシャノンも、安堵と賞賛の入り混じった表情でまふゆを見ていた。
「……よくやった」
ミカゲの静かな声が耳元で響く。
振り向くと、彼はいつもの無表情のまま、まっすぐにまふゆを見つめていた。けれど、その瞳の奥に宿る確かな称賛の色に、まふゆの胸はきゅっと甘く締め付けられる。
「ううん、うちだけやないよ。みんなで考えたからや」
まふゆはにかんで、石版をそっと手に取った。ひんやりとした石の感触が、二つ目の試練を乗り越えた達成感を伝えてくれる。
これで、残る石版はあと一つ。
(ゴールが、見えてきた……!)
まふゆは石版を胸に抱き、頼もしい仲間たちの顔を見回した。
一人では決して解けなかった謎。でも、みんなと一緒だから、乗り越えられた。
この冒険が、ますます楽しくなっていくのを感じながら、まふゆは満面の笑みを浮かべた。




