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「ふふ、ちょっと怖かったけどなんか冒険みたいで面白なってきた」
図書館の重厚な扉を抜け、再び学園の明るい日差しの下に戻ってきたまふゆは、ほっと息をつきながら小さく笑みをこぼした。
さっきまでの恐怖はもうない。ミカゲの出した見事な答えと、最初の石版を手に入れたという達成感が、不安をわくわくとした冒険心へと変えてくれていた。
「まふゆんの気持ち、わかる〜!謎解きって楽しいよね!」
リリアがまふゆの腕に絡みつき、ぶんぶんと揺らす。
「ああ、スリルがあっていいじゃねえか。ミカゲ、お前すげえな!よくあんな答えがわかったもんだ!」
レオンハルトが感心したようにミカゲの肩をバンバンと叩く。ミカゲは「……やめろ」と迷惑そうにその手を振り払ったが、その口元は心なしか緩んでいるように見えた。
「まさか像が喋り出して、謎かけをされるなんてね。学園長も随分と凝った仕掛けを準備したものだ」
セリウスが手にした石版を眺めながら、感心したように言う。石版の表面に刻まれた古代文字は、今はもう何の力も放っていない。
「ふん。まあ、あたしにかかれば、あんなのすぐに解けたけど?」
シャノンはそっぽを向いてツンとしているが、その足取りは来た時よりも軽やかだ。
「よし!この勢いで二つ目も見つけに行くぞ!目的地は湖だったな!」
レオンハルトが意気揚々と声を上げ、再び先頭に立って歩き出す。
……一行は、学園の敷地内にあるという湖を目指して、緑豊かな小道を進んでいった。
放課後の穏やかな日差しが木々の間から降り注ぎ、生徒たちの楽しそうな声が遠くから聞こえてくる。
「湖、綺麗やといいなぁ」
まふゆは皆の頼もしい背中を見ながら、期待に胸を膨らませる。
二つ目のヒントは『水鏡に映る、白亜の塔の頂を見よ』。
そこでは一体、どんな謎が待っているのだろうか。
始まったばかりの冒険は、まだ始まったばかり。まふゆの心は、これから起こるであろう出来事への期待で、キラキラと輝いていた。




