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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第十八話 はじめての臨海学校-後編-
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18-12




陸上の監視船では、穏やかだった雰囲気が一変していた。


突如として現れた魔物の群れと、それによって引き起こされた水中の混乱。

その光景は、監視用の水晶モニターを通して、教師たちの目に焼き付いていた。


「な、なんだあの魔物は!?事前調査では報告されていなかったぞ!」

「数も多すぎる!生徒だけでは危険だ!」


教師たちが騒然とする中、ローゼリアはいち早く冷静さを取り戻し、鋭い声で指示を飛ばした。


「全生徒、直ちに訓練を中止しなさい!第一チーム以外の生徒は、速やかに陸へ避難!治癒科は負傷者の受け入れ準備を!」


彼女の声は魔道具によって水中の全生徒に届き、パニックに陥りかけていた他のチームは一斉に陸へと向かい始めた。


しかし、問題は魔物の群れの中心で孤立している第一チームだ。

彼らはすでに完全に包囲されており、脱出は困難を極める。


「イリヤ先生は負傷者の対応をお願いします!ガンツ先生、ガレオス先生、私と加勢に出ますわよ!」

「言われずとも」

「おう、任せとけ!」


ガレオスが豪快に頷き、ガンツも冷静な表情で頷き返す。

三人の教師は躊躇なく海へと飛び込み、驚異的なスピードで第一チームが戦闘している沖合へと向かった。




その頃、水中のまふゆたちは、まさしく死闘を繰り広げていた。


「くそっ、本当にキリがねえな!」


レオンハルトの剣が唸りを上げて魔物を両断するが、その傍らから新たな敵が三体も湧いて出る。


「あーしのポーション、もうすぐ切れちゃうよ……!」


セリウスの張った障壁が砕け、リリアが悲鳴に近い声を上げる。

猫族の俊敏さをもってしても、シャノンは全身に細かい切り傷を負い始めていた。


ミカゲは深追いせず、まふゆとアリスの周囲を旋回するように動き、近づく敵を確実に仕留めていくが、その表情には焦りの色が浮かんでいる。


(あかん……このままやと、誰かが……!)


まふゆは必死に治癒魔術を飛ばし続けるが、仲間たちの消耗は激しく、魔力の回復が追いつかない。


自分のすぐ後ろで、アリスが恐怖に固く目を閉じているのを感じる。守らなければ。でも、どうやって。

絶望的な状況が、まふゆの心を重く締め付けていた。




その時、濁った海水を引き裂くように、三つの巨大な影が戦場に到達した。


「生徒から離れろ、雑魚どもが!」


ガレオスの雄叫びと共に、巨大な戦斧が水中で渦を巻き、周囲の魔物をまとめて薙ぎ払う。


「まったく、余計な手間をかけさせる」


ガンツは冷静に呟きながら、腕に装着した魔導機から高圧の水流を放った。それは水の刃となり、一直線上に並んだ魔物の甲殻をいとも容易く貫いていく。


「さあ、お仕置きの時間よ」


ローゼリアの周囲には妖艶な魔力が渦巻き、彼女に魅入られた魔物たちが同士討ちを始めた。

教師陣の圧倒的な実力。それは、劣勢だった戦況を一瞬で覆すほどの力だった。


「先生たち……!」


まふゆの口から、安堵の息が漏れる。


「よし、今のうちに態勢を立て直すぞ!」


レオンハルトが叫び、散り散りになっていた仲間たちがまふゆとアリスの周りに集結する。




これで助かる。誰もがそう思った、その瞬間だった。


陸の監視船の上で、エドウィンが口元に歪んだ笑みを浮かべ、指先の水晶に、さらに強い魔力を注ぎ込んだのは。


ゴゴゴゴゴゴ……!


戦場全体の海底が、不気味に振動を始めた。

今までとは比べ物にならない、強大で禍々しい魔力の気配が、海の底から湧き上がってくる。




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