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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第十八話 はじめての臨海学校-後編-
227/237

18-10




その頃、陸地から少し離れた海上に浮かぶ一隻の小舟。


その上には、生徒たちの訓練の様子を監視する数人の教師の姿があった。その中に、穏やかな笑みを浮かべ、海面を見つめる男がいる。




彼──エドウィンの緑色の瞳は、訓練の全体像を捉えてはいなかった。

その視線はただ一点、水中を移動するまふゆたち第一チーム、その中でも特に、アルビノエルフであるまふゆと、アリスの二人だけに、粘着質に注がれていた。


(素晴らしい……実に素晴らしい光景だ)


エドウィンの思考は、愉悦に染まっていた。


水中という特殊な環境は、生物の本能を剥き出しにする。

不安、恐怖、そしてそれを乗り越えようとする意志。そういった純粋な感情の揺らぎは、魔力の流れを活性化させる。


(アリス……私の最高傑作。君は今、アルビノエルフの庇護欲を一身に浴び、その魂を揺さぶられている。そしてまふゆ君、君のその慈愛に満ちた魔力は、アリスという不完全な器を満たし、安定させつつある……ああ、なんと美しい共生関係だろう!)


彼の脳裏には、歪んだ研究の完成図が描かれていた。

しかし、ただ観察しているだけでは足りない。最高のデータを収集するためには、最高の負荷(ストレス)が必要不可欠だ。




(さあ、見せておくれ。極限状況で、君たちの魂がどう共鳴するのかを)


エドウィンは、誰にも気づかれぬよう、そっと懐から小さな水晶玉を取り出した。


それは一見、ただの通信用の魔道具に見える。しかし、彼が指先で水晶に触れ、微かな魔力を流し込むと、その表面に一瞬だけ、禍々しい紋様が浮かび上がった。


それは、あらかじめ沖合の海底に複数仕掛けておいた「ある装置」を起動させるためのスイッチだった。




「……起動(アクティベート)


彼の唇から、吐息のような起動詠唱が漏れる。

その瞬間、まふゆたちが向かう最初のターゲットブイの真下、深い海底の岩陰に隠されていた魔道具が、静かに光を放ち始めた。




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