18-9
「第一チーム、前へ!」
ローゼリアの号令が、夏の浜辺に響き渡る。
まふゆ、レオンハルト、セリウス、ミカゲ、シャノン、リリア、そしてアリスの七人が、一列に並んで波打ち際へと進み出た。
午後の太陽は空高く昇り、青い海をどこまでも透明に照らし出している。
沖合に浮かぶ赤いブイが、これから始まる試練の場所を示していた。
「首飾りはちゃんと装着したわね?効果時間は三十分。水中で異常を感じたら、無理せずすぐにリタイア信号を送りなさい。いいわね?」
ローゼリアが念を押すように言うと、七人はそれぞれ頷き、自分の首元に触れて『鰓の首飾り』の感触を確かめた。
ひんやりとした金属が、肌に緊張を伝える。
「よし、準備はいいな! 行くぞ!」
レオンハルトが力強く叫び、先陣を切って海へと駆け出した。その声に鼓舞されるように、他のメンバーも続く。
まふゆはアリスの手をしっかりと握る。
「アリスさん、大丈夫やで。息はちゃんとできるはずやから、怖がらんとゆっくりな」
「……うん」
アリスはこくりと頷くが、その表情は硬い。未知の環境に対する不安が、その小さな体を強張らせていた。
水が苦手なシャノンは、あからさまに嫌そうな顔で、「最悪……」と呟きながらしぶしぶと後に続く。
ざぶん、と海水が体を包み込む。最初は冷たく感じた水温も、すぐに心地よいものに変わった。
まふゆはアリスを促し、ゆっくりと顔を水中につける。
すると、信じられない光景が広がった。
(わあ……すごい……!)
まるで空気を吸うのと同じように、自然に呼吸ができる。
水中の音はくぐもって聞こえるが、視界は驚くほどクリアだった。
太陽の光が水中に幾筋もの光のカーテンを作り出し、色とりどりの小魚たちがその光の中を舞うように泳いでいる。
そこは、陸上とは全く違う、幻想的な青の世界だった。
「すごいな、これ……本当に息ができるぞ」
レオンハルトのくぐもった声が、水の抵抗を越えて聞こえてくる。
「水圧もほとんど感じない……ドワーフの技術力は侮れないね」
セリウスも感心したように周囲を見回している。
水中という環境に、メンバーはそれぞれ異なる反応を見せた。
レオンハルトは早速、力強いキックで魚のように泳ぎ回り、セリウスは優雅に水を掻いて周囲の状況を分析している。
リリアは珍しい色のサンゴを見つけては、きゃっきゃとはしゃいでいた。
一方、シャノンは猫のように手足をばたつかせ、ぎこちない動きでなんとか浮いている。
ミカゲはまるで水の抵抗などないかのように、音もなく、静かに水中を漂っていた。
そしてアリスは、まふゆの手を固く握ったまま、不安げに周りを見回している。
「よし!まずは一番手前のターゲットだ!俺とセリウスで位置を確認する!ミカゲは周囲の警戒を頼む!」
レオンハルトがリーダーシップを発揮し、的確に指示を飛ばす。
七人の水中連携訓練が、静かに、しかし確かに始まった。




