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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第十八話 はじめての臨海学校-後編-
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18-8




午後の日差しが緩やかに傾き始めた頃、臨海学校の生徒たちは保養施設の大広間に集められていた。


賑やかだった午前中の自由な雰囲気は鳴りを潜め、これから始まる授業に向けて、生徒たちの間には程よい緊張感が漂っている。


「はーい、みんな注目ー!」


壇上に立ったローゼリアが、張りのある声で言った。彼女の周りには、ガレオスやガンツやイリヤといった他の教師陣の姿も見える。


「これより、臨海学校特別授業を開始します!今回のテーマは『水中での連携戦闘訓練』よ。各種族、水中という特殊な環境で、いかに自分の能力を活かし、仲間と協力できるかを見させてもらうわ」


その言葉に、広間はざわめきに包まれた。特に、水が苦手な獣人や、そもそも泳ぎに馴染みのない種族の生徒たちからは、不安げな声が上がる。


「もちろん、安全には最大限配慮するわ。イリヤ先生と治癒科の生徒が待機しているし、水中での活動を補助する魔道具も用意してあるから安心してちょうだい」


ローゼリアが艶然と微笑む。




「では、チーム分けを発表します!基本的に午前中の『海上宝探しゲーム』と同じチームで行動してもらうわね!」


まふゆたち七人は顔を見合わせる。


「訓練内容はシンプルよ。沖に設置された複数のターゲットを、チームで協力して破壊してもらう。一番早く全てのターゲットを破壊したチームが最高評価よ。いいわね?」


生徒たちが頷くのを確認し、ガンツが一歩前に出た。その手には、奇妙な首輪のような魔道具が握られている。


「これは『鰓の首飾り(ギル・ネックレス)』だ」


ガンツは低い声で説明を始める。


「ドワーフの技術とエルフの魔術を組み合わせた最新式の魔道具でな。これを身につければ、水中で呼吸が可能になり、水圧からも身体が保護される。ただし、効果時間は三十分。時間内に訓練を終えられなければ、強制的に水上へ転送される仕組みだ。心してかかるように」


生徒たちは一人ずつ壇上に上がり、ガンツから『鰓の首飾り』を受け取っていく。


まふゆも首飾りを受け取り、ひんやりとした金属の感触に少しだけ緊張を高めた。

ちらりと隣を見ると、アリスが不安そうな顔で首飾りを見つめている。


「大丈夫やで、アリスさん。何かあったら、うちが絶対に助けるからな」


まふゆが優しく声をかけると、アリスはこくりと頷き、小さな手でまふゆの服の裾をぎゅっと握りしめた。

その様子を、レオンハルトやセリウス、そしてミカゲがそれぞれの場所から静かに見守っている。




準備を終えた生徒たちは、再び水着に着替え、午後の太陽が照りつける浜辺へと集合した。


目の前に広がるのは、午前中とは打って変わって、訓練場と化した静かな海。

その沖合には、ターゲットを示す赤いブイがいくつも浮かんでいた。


「それでは、第一チーム、準備はいいかしら?」


ローゼリアの声が、訓練の始まりを告げる。

まふゆたち七人は顔を見合わせ、静かに頷き合った。


これから始まるのは、ただの授業ではない。仲間との絆が試される、新たな挑戦だった。




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