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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第十八話 はじめての臨海学校-後編-
218/364

18-1




臨海学校の二日目は、穏やかな晴天と共に幕を開けた。


窓から差し込む朝の光が、部屋の中を柔らかく照らし出す。

鳥のさえずりと、遠くから聞こえる規則正しい波の音が、心地よい目覚まし時計の代わりだった。


「ん……」


まふゆは、柔らかな布団の中でゆっくりと目を覚ました。隣を見ると、アリスがまだすうすうと安らかな寝息を立てている。

その無防備な寝顔は、昨夜の出来事を思い出させ、まふゆの口元に自然と笑みを浮かばせた。


(よう寝とるなあ……)


昨夜、部屋に戻ってからも、アリスはまふゆのそばを離れようとはしなかった。

結局、一つのベッドでぴったりとくっついて眠ることになったのだ。子供のような体温が心地よく、まふゆもいつの間にか深い眠りに落ちていた。


そっとベッドを抜け出し、まふゆは窓辺に立って大きく伸びをする。新鮮な潮風が、浴衣の隙間から入り込み、眠気を優しく吹き飛ばしてくれた。


「ふあ……ええ天気や」


きらきらと輝く海面を見つめながら、今日の予定に思いを馳せる。

確か、午前中は自由行動で、午後は特別授業が組まれているはずだ。


(せっかくやし、またみんなで海で遊ぶんもええなあ)


そんなことを考えていると、背後で布団がもぞもぞと動く気配がした。

振り返ると、アリスがゆっくりと体を起こし、眠たげな目でまふゆを見つめている。


「……まふゆ」

「おはよう、アリスさん。よう眠れた?」


こくり、とアリスが頷く。まだ完全に覚醒していないのか、その動きは少しだけ緩慢だった。


「お腹すいたやろ?顔を洗って、朝ごはん食べに行こか」

「……うん」


まふゆはアリスの手を取り、着替えを済ませると、朝食が用意されている食堂へと向かった。




食堂はすでに多くの生徒で賑わっており、焼きたてのパンの香ばしい匂いが漂っている。


「お、まふゆ!アリス!こっちだ!」


食堂の窓際の席で、レオンハルトが大きく手を振っていた。

そのテーブルにはすでにセリウス、リリア、シャノン、そしてミカゲも揃っている。


「みんな、おはようさん」

「おはよう、まふゆん、アリリン!」

「……おはよ」


リリアが元気に挨拶を返し、シャノンは眠そうに欠伸をしながら呟いた。

まふゆはアリスと一緒にトレーに朝食を乗せ、みんなの待つテーブルへと向かう。




「それで、午前中はどうする?午後からは授業だが、それまで時間があるぞ」


レオンハルトがパンをかじりながら、全員に問いかけた。


「あーしは買い物行きたいなー!この辺にしかない貝殻のアクセサリーとか売ってるお店があるんだって!」

「あたしは部屋でゆっくりしてる。昨日ではしゃぎすぎて疲れたわ」


リリアとシャノンは、それぞれの予定を口にする。


「僕も少し読みたい本があるから、部屋で過ごそうかな」


セリウスも穏やかに言う。


「じゃあ、うちはアリスさんと……」


まふゆが言いかけると、それまで黙ってスープを飲んでいたミカゲが、ぽつりと呟いた。


「……釣り」

「え?」

「この辺りは、珍しい魚が釣れるらしい」


ミカゲの意外な提案に、その場の全員が少し驚いた顔をした。




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