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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第十四話 はじめてのプール
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14-9




「ひゃあっ!冷たい!」


まふゆは思わず甲高い声を上げた。

シャノンに促されるまま、プールサイドの階段にそっと足を下ろした瞬間、経験したことのない冷たさが足先から駆け上がってきたのだ。


心臓がきゅっと縮こまるような、それでいてどこか心地よい刺激に、思わず肩が跳ねる。


「……つめたい」


隣で、同じように足を水につけたアリスも、小さな声で呟いた。彼女もまた、初めての水の感触に薄青い瞳をわずかに見開いている。


「当たり前でしょ、水なんだから。ほら、怖がってないで腰まで浸かりなさい」


シャノンは呆れたように言いながらも、自分はまだ水際で腕を組んだまま、一歩も入ろうとしない。その矛盾した態度に、まふゆはくすりと笑みをこぼした。


「ほら、まふゆ、アリス。ゆっくりでいい」


いつの間にか水の中に入っていたセリウスが、手を差し伸べてくれる。彼の周りの水は、まるで彼の穏やかな魔力に呼応するかのように、静かに揺らめいていた。


「大丈夫だ!すぐに慣れる!なんなら俺が引っ張ってやろうか!」


少し離れた場所で、すでに肩まで水に浸かったレオンハルトが豪快に笑う。


「あ、あかん、自分で入るから!」


まふゆは慌てて首を横に振り、意を決してもう一段、階段を下りた。

ひんやりとした水がふくらはぎを、そして膝を包み込む。全身の肌が粟立つような感覚だが、不思議と嫌な感じはしない。




「……きもちいい……かも」


太陽に火照った肌を、優しい冷たさが鎮めてくれる。水面がきらきらと光を乱反射し、まるで宝石箱の中にいるようだ。


「うん……きもち、いい」


アリスもまふゆの言葉に同調するように、こくりと頷いた。初めての体験が、彼女の中にまた一つ、新しい感覚を刻んでいく。


まふゆはアリスの手をしっかりと握り、ゆっくりと腰まで水に浸かった。フリルだらけの水着が水を吸って少し重いが、それ以上に、水に抱かれるような浮遊感が心地よかった。


「そうだ、その調子だ。怖くないだろう?」


セリウスが安堵したように微笑む。


「二人とも、なかなか筋がいいじゃないか!」


レオンハルトも満足げに頷いている。




初めてのプール。それは、まふゆが思っていたよりもずっと、楽しくて、気持ちのいい場所だった。


仲間たちに見守られながら、まふゆはアリスと共に、新しい世界の扉をまた一つ、開いたのだった。




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