表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第十三話 不思議の国の転校生
161/173

13-8




シャノンが不器用ながらもアリスの世話を焼いている、その微笑ましいような、奇妙なような光景が繰り広げられている最中だった。


「おっまたせー!やっとレポート終わったんだけど、みんなもう食べ始めてるじゃん!」


弾むような明るい声と共に、一人の少女が彼らのテーブルにやってきた。

銀色の髪をポニーテールにし、白衣を軽やかに翻している。B組のリリアだ。


彼女はトレーに乗せた薬草のサラダとパンを片手に、器用に空いている席を探す。


「あれ、リリア。お疲れ様」


セリウスが穏やかに声をかけると、リリアは「セリウス様もお疲れ様で〜す!」と笑顔で返した。そして、まふゆたちの中心にいる見慣れない少女に気づき、ぱちくりと目を瞬かせた。


「ん?その子だーれ?めっちゃかわいいんだけど!」


リリアの興味津々な視線が、アリスに注がれる。当のアリスは、シャノンから差し出されるシチューをただこくこくと食べているだけで、新しい人物の登場にも何の反応も示さない。


「ああ、今日来た転校生だ。アリス・リデル」


レオンハルトが紹介すると、リリアは「へぇ〜!」と声を弾ませた。


「転校生ちゃん!あーしはリリア・ノクティス!よろしくね、アリリン!」


リリアは臆することなく、あっという間にアリスにあだ名をつけ、手を振ってみせる。

その屈託のなさは、人見知りをするシャノンとは正反対だ。




「リリア、こんにちは。レポート大変やったんやね」


まふゆが声をかけると、リリアは「まふゆん、おつかれ〜!そうなの、お姉ちゃんの課題、マジ鬼でさ〜」と少しだけ口を尖らせた。

彼女はシャノンの隣、アリスの正面に当たる席に腰を下ろす。


そして、シャノンがアリスに食事を与えている光景をまじまじと見つめ、目を丸くした。


「え、シャノちゃんすごくない!?ママじゃん!」

「なっ……! ち、違うわよ! この子が自分で食べられないって言うから仕方なくよ!」


シャノンは顔を真っ赤にして反論するが、その手は止まらない。


「ふーん……?」


リリアは面白そうにその様子を眺め、次いでミカゲに視線を移す。


「ミカゲっちもちゃんと食べてる〜?」


リリアの奔放な言葉に、ミカゲは眉一つ動かさず、ただ黙々と食事を続けている。


賑やかなリリアが加わったことで、テーブルの雰囲気はさらにカオスなものになっていく。


アリスは、そんな喧騒の中心にいながら、やはり自分に向けられる言葉の意味を一つも理解していないかのように、ただシャノンが運ぶシチューを待っているだけだった。




「アリリン、好き嫌いとかあるのー?あーしのサラダも一口いるー?」

「……サラダ?」


アリスが初めてリリアの言葉に反応し、不思議そうに首を傾げた。その様子に、まふゆは思わず微笑む。


「リリアが来てくれて、もっと賑やかになったわあ」


この奇妙で、ちぐはぐで、けれどどこか温かい昼食の時間が、まふゆの心をじんわりと満たしていく。


白檻会やエドウィンという大きな不安を抱えながらも、仲間たちとこうして過ごす日常は、かけがえのない宝物のように感じられた。


アリスという新たな存在が、この日常にどんな色を加えていくのか。それはまだ、誰にも分からなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ