表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第十三話 不思議の国の転校生
155/173

13-2




一限目の授業が終わるベルが鳴ると同時に、教室は再びざわめきを取り戻した。

そしてその喧騒の中心は、間違いなくミステリアスな転校生、アリス・リデルだった。


「ねえ、アリスちゃんってどこから来たの?」

「前の学校ではどんなこと勉強してたの?」

「すごい綺麗な髪!エルフなの?」

「アリス・リデルって昔読んだ絵本の主人公の名前とおんなじ!由来はそこからなのかな?」


好奇心旺盛な生徒たちが、あっという間にアリスの席を取り囲む。質問の雨が降り注ぐが、アリスは相変わらずぼんやりとした表情で、ただ静かに座っているだけだった。


無数の視線と声に晒されても、その薄青の瞳は揺らぐことなく、まるでそこに誰もいないかのように虚空を見つめている。




まふゆは、少し離れた場所からその光景を眺めていた。


(すごい人気……でも、少し困ってるように見えるかも)


そう思い、声をかけようか迷っていると、隣からセリウスが話しかけてきた。


「不思議な子だね、あの子。種族もよくわからない」


セリウスは腕を組み、探るような視線をアリスに向けている。彼の魔術的な知識をもってしても、アリスからは何も読み取れないのかもしれない。


「ああ。魔力の流れも感じられない。かといって、人間特有の生命力とも違う……何だ、あいつは」


振り返ったレオンハルトも、眉間に皺を寄せている。彼もまた、アリスの正体不明さに警戒心を抱いているようだった。


まふゆは、隣の席に座るミカゲに視線を移す。彼は人だかりにもアリスにも一切興味を示さず、窓の外を静かに眺めているだけだった。その横顔からは、何も読み取ることはできない。


「……うち、ちょっと声をかけてみよかな。一人で大変そうやし」


心配になったまふゆがそう言って席を立とうとした、その時だった。




「……うるさい」


鈴が鳴るような、しかし氷のように冷たい声が、教室の喧騒を切り裂いた。


声の主は、人だかりの中心にいたアリスだった。

彼女はゆっくりと顔を上げ、自分を取り囲む生徒たちを一人一人、ガラス玉のような瞳で見つめる。


「あなたたち、だれ?アリス、知らない人とはなしたくない」


先程までの無表情が嘘のように、その顔にははっきりと「不快」という感情が浮かんでいた。


あまりの変わりように、周りの生徒たちは息を呑み、たじろぐ。


「ご、ごめん……」

「そんなつもりじゃ……」


気圧された生徒たちが蜘蛛の子を散らすように去っていき、アリスの周りには静寂が戻る。

彼女はふう、と小さくため息をつくと、また元の無表情に戻り、机に頬杖をついてしまった。




教室には気まずい空気が流れる。


まふゆは、どうすることもできず、ただアリスの後ろ姿を見つめることしかできなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ