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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第十一話 少女らは修学旅行へ-中編-
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11-11




夕日はほとんど沈み、空には一番星が瞬き始めている。

巨大な闇の存在を知り、それでも彼らの心は、今、確かに一つになっていた。


「……俺は、決めた」


レオンハルトが、決意を固めた声で言った。


「俺は、白檻会を、エドウィンを許さない。必ず、この手で奴らの悪事を暴き、まふゆを……いや、エルフ族を解放する」


その言葉は、もうただの学生のものではなかった。民を想い、悪を許さぬ、一国の王子の誓いだった。

その力強い宣言に、セリウスも、シャノンも、リリアも、固い決意を瞳に宿して頷く。


「……僕も、兄さんと共に戦う。これ以上、誰も傷つけさせはしない」


セリウスが、兄の隣に立つ。


「あたしもよ。あんな奴ら、あたしがひっかき回してやるわ」


シャノンが拳を握る。


「あーしも……!怖いけど……まふゆんやみんなのために、できることをする!」


リリアも、震えながらも勇気を振り絞った。


仲間たちの熱い想いが、一つになる。

まふゆは、溢れる涙を手の甲で拭った。自分は一人じゃない。こんなにも心強い仲間たちが、そばにいてくれる。


「……ありがとう、みんな……ほんまに、ありがとう……!」


ミカゲは何も言わず、ただまふゆの隣に立ち、その輪の中心にある決意を静かに見守っていた。

彼の瞳には、仲間たちへの信頼とも、これから始まる戦いへの覚悟ともつかない、複雑な光が揺らめいていた。


重い真実を共有したことで、六人の間には以前よりもずっと強く、そして確かな絆が生まれていた。




ホテルへの帰り道、あれほど重かった空気は嘘のように消え去っていた。


もちろん、問題が解決したわけではない。むしろ、巨大な敵の存在を認識したことで、状況はより深刻になった。


それでも、心を許せる仲間と秘密を分かち合った安堵感が、彼らの足取りを少しだけ軽くしていた。


「門限ギリギリになっちまったな」


ホテルのエントランスが見えてきたところで、レオンハルトが苦笑した。空はすっかり夜の闇に覆われている。


「全く。あんたたちが喧嘩してるからでしょ」


シャノンが呆れたように言うと、レオンハルトもミカゲもバツが悪そうに口を噤んだ。その様子に、セリウスとリリアから小さな笑いが漏れる。


まふゆも、つられてふふっと笑った。こんな風に笑えたのは、本当に久しぶりな気がした。


夕食の時間はとうに過ぎていたため、六人はそれぞれの部屋でルームサービスを頼むことになった。




部屋に戻ると、まふゆはまず工房で作ったグラスをそっと机の上に置いた。ミカゲとの思い出が詰まった、大切な宝物だ。


「……本当に、色々あったわね、今日」


シャノンがベッドにどさりと倒れ込みながら言った。


「うん……」

「リリアも、顔色マシになったじゃない」

「えっ、そ、そうかなー?」


シャノンに指摘され、リリアはどきりとしたように頬に手を当てる。確かに、昼間までの生気を失ったような表情は消え、少しだけ血色が戻っていた。


(レオンハルト様が……あんなに強く、まふゆんのことを守るって……。やっぱり、敵わないのかな……)


リリアの胸の内では、諦めと、それでも捨てきれない想いが複雑に渦巻いていたが、仲間たちと一つの目的に向かうという決意が、彼女に僅かながら前を向く力を与えていた。


その夜、まふゆは久しぶりにぐっすりと眠ることができた。

隣には、信頼できる仲間がいる。もう、一人で恐怖に怯える必要はない。

その安心感が、心と体を深く癒してくれた。




第十一話・了




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