表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第十一話 少女らは修学旅行へ-中編-
135/173

11-1




修学旅行二日目の朝は、気まずい静けさと共に訪れた。


窓から差し込む柔らかな光が、部屋を明るく照らし出す。しかし、まふゆの心はどんよりと曇ったままだった。


昨夜、あれからほとんど眠れなかった。目を閉じれば、ミカゲの冷たい瞳が脳裏にちらつき、胸が締め付けられる。


レオンハルトとの事故のキスの感触も、まだ生々しく唇に残っているようで、落ち着かない。


「……おはよう」

「……おはよ」


先に起きていたシャノンと、小さな声で挨拶を交わす。

リリアもすでに起きていて、洗面所で身支度を整えていた。


「リリアさん、おはよう」

「……おはよ、まふゆん」


振り返ったリリアは、無理に作ったような笑顔を浮かべていた。

目の下には、うっすらと隈ができている。彼女もまた、よく眠れなかったのだろう。


その原因が自分にあるのかもしれないと思うと、まふゆは何も言えなくなってしまう。

三人分の重いため息が、部屋の空気をさらに重くした。




朝食会場であるホテルのレストランに行くと、すでに多くの生徒で賑わっていた。

レオンハルト、セリウス、そしてミカゲも、すでに席についているのが見える。


「お、おはよう」

「……おはよう」


まふゆとシャノンが挨拶をすると、セリウスはいつも通り穏やかに、しかしどこか心配そうな表情で「おはよう」と返してくれた。


レオンハルトも「ああ、おはよう」と応じるが、その視線はどこか泳いでいて、まふゆと目を合わせようとしない。


そして、ミカゲ。彼はまふゆを一瞥しただけで、すぐに視線を窓の外に移してしまった。その横顔は、昨夜の森で見た時と同じ、氷のような冷たさを湛えている。


(……やっぱり、怒ってるんや……)


ずきり、と胸が痛む。

朝食の味は、ほとんどしなかった。




朝食後、エドウィンから本日のスケジュールが発表された。

午前中はシルヴァニアの伝統工芸である「ガラス細工体験」、午後は班に分かれての市内観光だという。


「ガラス細工のペアは、リストを掲示しておくから、確認しておくように」


エドウィンの言葉の後リストを確認すると、まふゆの心臓がどきりと跳ねる。


(レオンハルトと、ペア……)


恐る恐るレオンハルトを見ると、彼もまた、気まずそうな顔でこちらを見ていた。

そして、その二人を、ミカゲが背後から無言で見つめている。


「……まふゆん、あーし、シャノちゃんと同じペアだー」


リリアが、力なく笑って言う。


「ん、さよか……」


まふゆも、何とか笑顔を返した。しかし、リリアの瞳は笑っていない。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ