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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第十話 少女らは修学旅行へ-前編-
128/173

10-3




活気に満ちた美しい観光都市、シルヴァニア。


石畳の広場、軒を連ねる可愛らしい店々、そして遠くに見える壮麗な大聖堂。見るものすべてが新鮮で、まふゆの心は自然と弾んだ。


「はーい、皆さん、ようこそシルヴァニアへ!これから本日宿泊する『星降りのホテル』まで徒歩で移動しますので、はぐれないようにしっかりついてきてくださいねー!」


ローゼリアの艶やかな声が響き、新入生たちはぞろぞろと列をなして歩き始める。

まふゆも、レオンハルトたち六人で固まって歩き出した。


「うわぁ……!見て、あのお店、可愛い雑貨がいっぱいや!」

「あっちの店はいい匂いがするな。名物の焼き菓子か?」


キョロキョロと辺りを見回すまふゆに、レオンハルトがにこやかに応じる。

初めて訪れる街の雰囲気に、三人に告白された気まずさも少しだけ薄れていくようだった。


「まふゆん、あとで自由時間あるみたいだし、一緒に回ろーよ!」

「うん!うちもリリアさんと一緒に回りたい!」

「……あたしも、一緒に行くわよ」


リリアとシャノンとの約束に、まふゆは嬉しくて笑顔になる。


「はしゃぎすぎだ、まふゆ。転ぶぞ」

「わ、わかってるって、ミカゲ」


隣を歩くミカゲに冷静に注意され、まふゆは少しだけ頬を膨らませた。しかし、その声色に心配が滲んでいることには気づいている。


「本当に綺麗な街だね。空気も澄んでいるし、ゆっくり過ごせそうだ」


セリウスが穏やかな表情で言う。その横顔はいつも通り優しげで、まふゆは少しだけ胸がちくりと痛んだ。




しばらく歩くと、一行は湖のほとりに建つ、白亜の美しいホテルの前に到着した。

『星降りのホテル』と金のプレートで書かれたその建物は、まるでお城のようだ。


「うわぁ……!すごい……!」

「ここが今日から泊まるホテルか。悪くないな」


レオンハルトが満足げに頷く。


ロビーでエドウィンから部屋割り表が配られ、生徒たちは各々の部屋へと向かうことになった。


「えーっと……うちは……リリアさんとシャノンさんと一緒や!やったぁ!」


自分の名前を女子部屋のリストに見つけ、まふゆはぱっと顔を輝かせた。


「やったね、まふゆん!三日間よろしくー!」

「……よろしく」


リリアとシャノンも嬉しそうだ。


「俺とセリウス、ミカゲは同じ部屋か」


レオンハルトが男子部屋のリストを見て言う。その言葉に、三人は一瞬、微妙な空気に包まれた。


「……別に、構わない」


ミカゲが最初に口を開き、セリウスも「そうだね、問題ないよ」と頷く。しかし、その間に流れる緊張感を、まふゆは敏感に感じ取っていた。


「部屋に荷物を置いたら、一時間後にロビーに再集合だ。その後は夕食まで自由時間とする。ただし、問題行動は起こさないように。いいかな、諸君」


エドウィンの言葉を合図に、生徒たちはエレベーターへと向かう。


「それじゃ、また後でな、まふゆ」

「うん、また後でね。レオンハルト、セリウス、ミカゲ」


三人に手を振り、まふゆはリリアとシャノンと共に女子部屋へと向かった。




カードキーで扉を開けると、そこには上品な内装の広々とした部屋が広がっていた。大きな窓からは、きらきらと輝く湖面が見える。


「きゃー!すごい、めっちゃ広いじゃん!」

「ほんまや……!ベッドもふかふか!」


リリアと一緒にはしゃぎながらベッドにダイブする。

旅の始まりの高揚感が、まふゆの心をいっぱいに満たしていく。


この三日間が、きっと忘れられない特別な時間になる。そんな予感がしていた。


告白の返事という重い課題は胸の奥にしまい込み、今はただ、この瞬間を楽しもうと、まふゆは心に決めたのだった。




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