9-11
「……っ……ぁ……」
まふゆは、真っ赤に染まった顔のまま固まっていた。頭の中が真っ白で、何をどう返事すればいいのか全く分からない。
(え、え、え……!?うち、告白、された……!?セリウスさんに……!?)
心臓が早鐘を打っている。耳まで真っ赤になり、視線は泳ぎ、言葉が全く出てこない。
「……セリウス」
その沈黙を破ったのは、レオンハルトだった。
彼は弟の告白を静かに聞き終えると、複雑な表情で溜息をついた。
「お前、本気なんだな」
「ああ。本気だ、兄さん」
セリウスは、兄の視線をまっすぐに受け止める。
レオンハルトは腕を組み、しばらく沈黙した後、ふっと苦笑した。
「……そうか。なら、俺も隠すのはやめるか」
その言葉に、セリウスが目を見開く。
「兄さん……?」
レオンハルトは、まふゆの方へとゆっくりと歩み寄った。そして、彼女の肩に手を置く。
「まふゆ。俺も、お前に伝えたいことがある」
その声は、いつもの豪快さとは違う、静かで真剣なものだった。
まふゆは、ますます混乱した様子で、レオンハルトを見上げる。
「……俺も、お前のことが好きだ」
二人目の告白。
まふゆの頭が、完全にパンクした。
「……ま、待って!?どういうことなん!?」
まふゆは完全にパニック状態だった。
真っ赤な顔で両手をぶんぶんと振り回し、レオンハルトとセリウスを交互に見る。その様子は、まるで熱湯の中に放り込まれた小動物のようだった。
「落ち着け、まふゆ」
レオンハルトは苦笑しながら、彼女の肩を優しく掴んだ。
「俺の気持ちは、本物だ。お前を守りたい。お前の笑顔を見ていたい。お前と一緒にいたい。それが、俺の本心だ」
その真剣な眼差しに、まふゆの心臓はさらに激しく打ち始める。
「で、でも……!レオンハルトさんは、うちのこと、仲間やって……!」
「最初はな。でも、今は違う」
レオンハルトは、まふゆの白い髪をそっと撫でた。
「お前が俺の隣にいてくれるだけで、心が穏やかになる。お前が笑えば、俺も嬉しくなる。お前が泣けば、俺の胸も痛む。……これが、恋じゃなくて何なんだ?」
その言葉に、まふゆは完全に言葉を失った。
顔は真っ赤で、視線はどこを向いていいのか分からず、ただ口をぱくぱくと開け閉めするだけ。
「兄さん、ずるいぞ」
セリウスが、不満そうな声を上げた。
「僕が告白した直後に、便乗するなんて」
「便乗じゃない。俺も、お前と同じ気持ちだったってだけだ」
レオンハルトは弟を見据えると、不敵に笑った。
「それに、お前だって分かってただろ?俺が、まふゆのことをどう思ってるか」
「……ああ。薄々、気づいていた」
セリウスは唇を噛みしめる。
兄がまふゆを見る目が、ただの仲間を見る目とは違うことに、彼はずっと前から気づいていた。だからこそ、嫉妬していたのだ。
「でも、だからといって諦めるつもりはない。僕も、本気だ」
セリウスの青緑の瞳が、強い意志を宿して兄を見据える。
レオンハルトもまた、その視線を真正面から受け止めた。
「……ふ、二人とも……!」
まふゆは完全に混乱していた。
頭の中は真っ白で、何をどう考えればいいのか全く分からない。ただ一つ確かなのは、自分の心臓が今にも破裂しそうなほど激しく打っているということだけだった。
そして、その光景を壁に寄りかかりながら見ていたミカゲが、ゆっくりと動き出した。
「……待て」
低く、静かな声。
しかし、その声には圧倒的な存在感があった。レオンハルトとセリウスの視線が、一斉にミカゲへと向けられる。
ミカゲはゆっくりと歩み出ると、混乱するまふゆの前に立った。そして、その黒い瞳で、彼女をまっすぐに見つめる。
「……あんたら二人だけだと思うな」




