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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第九話 少女は告げられる
121/173

9-10




セリウスは、まふゆの優しい笑顔を見つめながら、心の中でひとつの決意を固めていた。


(……そうだ。僕は、ずっと自分の気持ちを押し殺してきた)


まふゆへの恋心。

それは、彼女が学園に来た日から、静かに、しかし確かに育ち続けていた感情だ。


けれど、彼はそれを表に出すことを恐れていた。レオンハルトやミカゲとの関係を壊したくない、まふゆを困らせたくない、そんな言い訳で自分の気持ちに蓋をし続けてきた。


(……その結果が、あの暴走だ)


押さえつけていた感情は、魔導機によって増幅され、嫉妬という醜い形で噴出した。


もし、最初から素直に気持ちを伝えていれば。

もし、自分の心に正直になっていれば。

あんなことにはならなかったかもしれない。


(……なら、答えは決まっている)


セリウスは、まふゆの菫色の瞳をまっすぐに見つめた。

彼の心は、もう決まっていた。




「まふゆ」

「……ん?」


まふゆが小首を傾げる。

その仕草がまた、彼の心を揺さぶる。


「僕は……君に、伝えたいことがある」


その声は、静かだが、はっきりとした意志を帯びていた。

レオンハルトとミカゲの視線が、一斉にセリウスへと向けられる。二人とも、彼が何を言おうとしているのか、予感していた。


「……僕は、君が好きだ」


セリウスの告白は、夕暮れの教室に静かに響いた。

まふゆの目が、驚きに見開かれる。レオンハルトは息を呑み、ミカゲの無表情がわずかに硬くなる。




「……っ、え……?」


まふゆの頬が、見る見るうちに真っ赤に染まっていく。


「最初は、ただ仲間として、友として好きなのだと思っていた。でも違った。僕は、君のことを、一人の女性として愛している」


セリウスは、自分の胸に手を当てた。


「今まで、この気持ちを押し殺していた。兄さんや、ミカゲとの関係を壊したくなかったから。君を困らせたくなかったから。でも……それが間違いだった」


彼は、ぎゅっと拳を握りしめる。


「感情に蓋をし続けた結果、僕は暴走した。君を傷つけようとした。だから、もう隠すのはやめる。僕は君が好きだ。この気持ちは、本物だ」


その真剣な眼差しに、まふゆは言葉を失った。

顔は真っ赤で、視線は泳ぎ、口をぱくぱくと開け閉めするだけで、何も言葉が出てこない。


「……返事は、今すぐでなくていい。僕はまだ、君に釣り合う男じゃない。でも、いつか必ず、君の隣に立てるくらい強くなる。だから……僕に、チャンスをくれないか」


セリウスは、まふゆの手をそっと取った。

その手は、温かくて、小さくて、震えていた。


「僕は、君を守りたい。君を笑顔にしたい。君の隣で、ずっと支えていたい。……それが、僕の本当の気持ちだ」


告白を終えたセリウスは、静かにまふゆの手を離した。

彼の顔には、もう迷いはなかった。ただ、まっすぐな決意だけがあった。




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