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異世界に行ける可能性は微粒子レベルで存在している  作者: Lemuria


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毒の出所

【称号】

二条院優介:セクハラたらし大魔神

京山緑:優介の理解者

「まず、飲み物の自動販売機の中にこれがあったわ。」


 緑はポケットから一本のペットボトルを取り出して、優介の前に差し出す。


「これ、小江さんが飲んでたのと同じ種類よ。

 言いたいことわかるわよね?」


 その言葉に、優介は即座に察する。


「…毒が仕込まれた飲み物が取り出し口に先に置かれてたってことか。」


「ええ、おそらくね。このブドウジュースを買った小江さんは、毒が仕込まれたほうを今買ったものと勘違いして持っていった……古典的なやり方だと思うし、小江さんが飲んだのは偶然の可能性もあるんじゃないかと思ってるわ。」


「狙われてたわけじゃないって言いたいのか?」


「小江さんは毎回同じジュースを買ってたけど、自販機の飲み物って4種類あって、ジュースは水やお茶より人気が高い部類よ。

 それに、誰かが小江さんより先に来て、毒のジュースの銘柄と違うものを買ったらどうなると思う?」


「まあ変には思うだろうな。押すのを間違えたと思うか、そもそも間違った場所に1本だけ入ってたと思うか。」


「どちらにしても貴重な銀貨を消費した以上、それを飲むんじゃないかしらね?もし犯人もそう考えていたなら、無差別のセンもあると思うわ。」


「動機…は考えても仕方がないか。毒の出所はおそらく…」


「ええ、箱に入ってたんでしょうね。」


 そこで緑はふと、優介をじっと見つめて言う


「ねぇ、優介。あなたの読心で犯人わからないの?」


 優介はゆっくりと首を横に振った。


「佐伯さんと手分けして報告したから、全員を直接見たわけじゃない。俺が会った限りでは、反応が不自然だった奴はいなかった」


「誰?」


「佐伯、ゆみ、クリス、晃、透華……この五人だな」


「真田、芹香ちゃん、紅葉の中にいる可能性は?」


「真田は、一枚箱と多分二枚箱を開けてる。

 一枚箱に入ってたものは、おそらく遊戯室の鍵とイカサマグッズ、二枚箱に入ってたものは、紅葉に関連するものじゃないかと踏んでいる。」


「どうしてそう思うの?」


「イカサマグッズだけあってもあからさまに怪しいだろ。遊戯室が解放され、通常のトランプやサイコロがあって初めて有効だからだ。

  それにギャンブルやってる人間だったら暴力でご破算にされないように、後ろ盾を持つものだ。

 紅葉がこのメンバーで直接的な戦闘力が最強で、護衛してもらうと言う発想になる何かーーー或いは情報そのものが入っていたと思ってる。」


「なるほど…」


「だから真田の箱に毒が入っていたとも考えにくいし、あっても三枚箱を開けられないから違うだろう。」


「じゃあ、紅葉は?」


「紅葉も戦闘力が最強であるなら、わざわざ毒を使う意味もわからない。その気になれば素手でも人を殺せるんだろうし、緑の推測が正しいなら実際に殺したことがあるわけだ。

 犯人の可能性がないとは言えないが、むしろ戦っても勝てない紅葉を殺すための毒と考えた方がまだわかる。」


「……芹香ちゃんは?」


 優介はわずかに眉を寄せ、短く息を吐いた。


「……まあ、あまり考えたくはないな。」


「ずいぶん甘いじゃない。芹香ちゃんだって誰かを殺したことあるかもしれないのよ?」


「まあな。本当に必要なら催眠かけてみるさ。」


 それなら――と、緑が言葉を継ぐ。


「……じゃあ、読み取れなかったって可能性は?」


「ないとは言い切れない。俺の読心も、万能ってわけじゃないからな。」


 優介は淡々と続けた。


「微表情は訓練で抑えられるし、小江みたいに“読まれる”ことを前提に、意図的なノイズを混ぜる奴もいる。そもそも感情が顔に出にくい人間もいるからな」


 緑はうーんと考え込む様子で顎に手を当てている。


「優介が目星ついてれば早かったんだけど、そうじゃないならそもそも犯人を探す必要ってあるかしら?」


「……俺ら以外から見たら、“殺人犯が二人目を殺した”って思われてるだろうな。身を守るために、今後は犯人探しの流れが加速してもおかしくない」


 優介の言葉に、緑は軽く肩をすくめてみせた。


「私としては、あんまりありがたくないムードだけど……それに――」


 ふと、声のトーンが落ちる。


「今回、殺されたのが小江さんっていうのが……痛いわ。ほとんど唯一と言っていい、脱出の手がかりだったのに」


「ああ、現状じゃ、俺たちの手元には取っかかりすら残ってない」


 優介は低くつぶやく。

 小江の言葉、行動、その思考の断片たちは、すべて彼女の死とともに閉ざされた。


「もし何かがあるとすれば……開いていない扉の奥、か」


「でも、それを開けるには金貨が必要になる可能性が高いわよ。残りの総枚数から見て、もうかなり消費されてきてる。もし、脱出とは無関係なことに使い切ってしまったら……その時点で、詰みになる可能性だってある」


「……逆に言えば、金貨で開く箱の中に手がかりがある可能性もあるってことか」


「……小江さん、箱を開けたのかしら?」


 緑が問いかける。


「“開ける箱は決まってる”とは言ってた。俺も、それで一枚、金貨を譲り受けた」


「そう……ってことは、開けたとしたら二枚箱で確定ね」


 緑は思案顔で小さく頷く。


「……一度、小江さんの部屋を見に行かない? 開けた箱の中身とか、他にも何か痕跡が残ってるかもしれない」


「ああ。鍵は…そのままなら小江が持っているはずだな。まあお前のことだ当然……」


「――今からよ。」

【獲得称号】

なし

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