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異世界に行ける可能性は微粒子レベルで存在している  作者: Lemuria


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39/66

VS真田一馬(中編)

【称号】

二条院優介:セクハラ大魔神

真田一馬:勝ち組ギャンブラー

青峰透華:兼業ディーラー

【7ラウンド】


 場に静かな空気が流れる中、7度目のディールが始まった。


「アンティ1、ブラインド1枚ずつ。じゃ、ディールいくよ」


 透華がカードを切り始める。無駄のない所作が、空気の密度をわずかに高めていく。


 銀貨の残りは、優介23枚。真田、74枚。


 5枚ずつ配られたカードを手にしながら、ふたりは互いに顔色をうかがうこともなく、ただ静かに動く。


「チェック」


「……チェック」


 開幕は静かな立ち上がり。わずかに、真田の口元が持ち上がる。


「優介から、ドローどうぞ」


 透華に促され、優介は手札から3枚を滑らせる。入れ替えられた新たなカードを、目線だけで確認しながら、淡々と揃えた。


「2枚で」


 真田は短く言い、2枚を差し出す。その手付きに淀みはない。軽口もなく、無駄もない。


 透華が残りのカードを配り終えると、再び、無言のまま数秒が過ぎた。


「……チェック」


 優介がテーブルを軽く叩く。


 続けて、真田は──ゆっくりとカードを伏せた。


「フォールド。ったく、やってらんねぇな」


 そう言いながら椅子の背にもたれかかり、頬杖をつくような格好で笑う。その表情に焦りはなく、どこか飄々とした余裕が滲んでいた。


 透華がテーブルの中央から銀貨1枚を拾い、優介の前に滑らせる。


「ポット1枚、優介の勝ちっと」


 テーブルにわずかにざわめきが走る。大きな反応はないが、その空気のわずかな揺らぎが、局面の変化を告げていた。


「やった……」


 小さな声が漏れる。緑が両手をぎゅっと握りしめ、微かに震えるようにしていた。希望と安堵が、その小さな身体からにじみ出ている。


 真田が軽く口笛を鳴らし、カードを指で弾く。


「初勝利おめでとう、坊ちゃん」


 その言葉には、どこか冷笑と侮蔑が混じっていた。


 優介は無言のまま、視線を伏せて手札を揃え直す。表情は動かず、口も開かない。


 淡々と、次の勝負の準備だけが、音もなく進んでいった。





【10ラウンド】


 場に重苦しい空気が垂れ込める中、10回目の勝負が始まった。


 透華が銀貨を確認し、ディーラーとしての手続きを淡々とこなしていく。


「アンティ1、ブラインド1枚ずつ。じゃ、ディールいくぜ」


 銀貨がテーブルに投げられ、カードが配られる。乾いた音が一つずつ、場の静けさを刻んでいく。


 ──優介、残り11枚。真田、86枚。


 誰も言葉を発しない。ただ、視線が卓上に注がれる。真田の顔には勝者の余裕が浮かび、優介はいつも通りの無言のまま、伏せた視線でカードを見つめている。


「チェックだ」

「……俺も、チェック」


 ドローフェーズ。


「優介、何枚替える?」

「3枚」


「じゃあ次は真田、何枚?」

「1枚だけでいい」


 ポストドロー。


「……チェック」

「よし、こっちはベットだ。3枚」


 真田が銀貨を弾くように置く。その手の動きには、完全に主導権を握った者の軽やかさがあった。


 数秒の静寂。


「……フォールド」


 優介は、淡々とカードを伏せるだけだった。


「よっしゃ、また俺の勝ちだな」


 銀貨を回収しながら、真田があからさまに口角を上げる。その表情には、勝利を確信した優越感しかなかった。


「もうそろそろ終わりか? 銀貨も底だろ? なあ、お坊ちゃんよ」


 誰も笑わない。緑は唇を噛み、小さく身を縮こまらせている。透華の目にも、わずかながら不快の色が差していた。


 佐伯は目を伏せ、小さく首を振った。誰もが思っていた──もう、これ以上は見ていられない、と。


 だが、その時。


 優介がぽつりと口を開いた。


「……随分おしゃべりだな。勝負の最中にペラペラ喋ってて、気が散らないのか?」


 その言葉に、真田は「は?」と鼻で笑う。


「いいじゃねえか。どうせお前は喋っても勝てねえんだし。まあ、せいぜい喋って気を紛らわせろや。残り、あとちょっとだぜ?」


 優介は黙って真田を見た。


 その表情は変わらず無機質。だがほんの僅か、口元が緩む。


「そっか。なら……こっちもおしゃべりさせて貰おうか。」


 わずかに声のトーンを上げて、優介が言った。

【獲得称号】

なし

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