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異世界に行ける可能性は微粒子レベルで存在している  作者: Lemuria


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14/66

箱の中には

【称号】

二条院優介:ラスエリ病医学生

柊小江:国民的アニメの要注意人物

 ふと、壁の時計に目をやる。


(もうこんな時間か…)


 最低限、佐伯、ゆみ、晃の三人には、救護室のことを伝えておいた方がいいだろう。できれば、他に箱を開けた人がいないかの情報も集めたい。


(……クリスだけが開けたとは限らないしな。)


 そう思いながら廊下を歩いていると、曲がり角の先から見知った人影が現れた。


「やっほ、優介くん。」


 柊小江が、ひらひらと手を振ってくる。


「クリスちゃんから聞いたよ。救護室、見つけたんだって?」


「……早いな。あいつ、もう広めてんのか。」


「ふふ、彼女、嬉しそうだったからね。」


 小江はにこにこと微笑みながら、軽やかに優介に歩み寄る。

「それで、優介くんは箱は開けたの?」


「……まだ開けてない。」


「へえ、開けないんだ。」


「……いずれ開けるさ。」


「ふふ、いずれ、ね。」


 小江は楽しげに笑いながら、ひょいと首をかしげた。


「ねえ、優介くんは……何が入ってたら嬉しい? 希望? それとも絶望?」


「……その選択肢はおかしいだろ。」


「怖いの?」


「……いや、別に。」


「うそ。ちょっと怖いでしょ?」

 にやりと小江が笑う。


「じゃあお前はどうなんだ。箱、開けたのか?」


「まだよ。」


「怖いのか?」


「ううん、楽しいのよ。」


 小江はそう言って、指先をくるくると遊ばせる。


「箱ってね、開けるまでは無限の可能性が詰まってるの。希望かもしれないし、絶望かもしれないし……もしかしたら脱出チケットが入ってるかもしれない。」


「……随分都合のいい話だな。」


「でもね、確定した瞬間、全部の可能性が消えちゃう。残るのは、たったひとつの“答え”だけ。」


 小江の声は相変わらず柔らかいのに、不思議とその言葉には微かな冷たさが滲んでいる。


「開けちゃったら、そこが終わり。選べたかもしれない未来も、もう消えちゃう。……それって、ちょっと絶望でしょ?」


「じゃあ、開けないつもりか?」


「ふふ……実はもう、開ける箱は決めてるの。」


 小江は優介に一歩近づき、子供のように無邪気に問いかける。


「優介くんもきっとそのうち箱を開けるわ。その時、優介くんの箱には何が入ってると思う?」


「……さあな。お前は何が入ってると思うんだ?」


「そうねぇ……」


 小江はひとしきり考え込むふりをしてから、くるりと笑う。


「……ミミックとか?」


「おい。」


「ふふふ、気を付けてね? 箱を開けた瞬間、優介くんの手をガブッ!って食べちゃうかもよ。」


 悪戯っぽく目を細める小江に、優介は小さくため息をついた。


「でもね、優介くん。」


「ん?」


「あなた、きっと――」


 小江はわざと続きを濁すように、微笑を残したまま背を向ける。


「やっぱり、今は内緒。」


「は?」


「またね。」


 ぱたぱたと軽い足音を残して、小江は去っていく。

「……何だよ、きっとって。」


【獲得称号】

柊小江:ミミック提唱者 ←NEW

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