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天使さま、帰郷する

 ゼル爺から譲り受けた宇宙船は分類でいうと小型艇にあたる。

 名をロゼリア号というらしい。

 流線形のスリムな機体で、自動運転を基本としているので操縦の必要がない。


 それゆえ手持無沙汰になって、遠くなる惑星ハーヴェンを画面越しに眺めていたら、フクレから声をかけられた。


『レグ様、間もなく遷時空域に侵入いたします』

「……わかりました、準備します」


 ロゼリア号は小型の強みを生かした格別の速さを誇るが、それでも光速には至らない。そもそも光速で飛ぶ機体なんて舵の取りようがないだろう。

 ではどうやって何百万光年も離れた地球へ向かうのかというと――


「幽門解放、固定完了しました」


 ロゼリア号の行先に大きな楕円が現れる。

 はたから見れば、ぽっかり空いた口のようだ。それも異様に白い。まるで塗り忘れてしまったかのような。


 そんな穴の中にロゼリア号は自ら飛び込んでいく。


『突入まで、3……2……1……ゼロ』


 途端、景色が切り替わる。


 殺風景で何もない、ただただ真っ白な空間。

 唯一、眼下に真っ黒な『道』が伸びている。


『遷移成功デス』

「幽門、封鎖。機体のチェックを」

『オールグリーンデス』

「進行方向を272へ。そのまま直進させてください」


 この殺風景な場所は『霊界』だ。

 普段俺たちが暮らしている次元と重なるように存在している。


 ここでは時間や距離の間隔が()()()()()

 一歩が千里以上にもなり、時空を超越していく。


 つまり霊界の中を移動し、再び元の次元に戻ることで大幅なショートカットができるのだ。このワープ航法が確立されたことによって、現代は銀河を越え様々な種族が交流するようになっていた。


 ワープ技術を保有していなければ、その種族は連邦から文明レベル3以上に認定されないといえば、どれほど根幹的なテクノロジーであるかがわかるだろう。


 そして、この霊界の発見にも霊子(エーテル)が大きく関わっている。


 霊子はハーヴェンをはじめとした神族にしか知覚できない、不思議な粒子だ。宇宙に遍く存在するといわれているが、そもそもこの世界の物質は全て原子から成り立っている。ありとあらゆる化学式を眺めてみても、そこに霊子が入り込む隙間は存在しない。


 だが、霊子は確かに『ある』のだ。


 そこで大昔の人類は考えた。

 そこにあると感じる以上、確かに霊子が存在するのは間違いない。

 なのに世界のどこにも見つからないというのなら、もしかして探している場所が間違っているんじゃないか――


『さすがデスね。ゲートを使わずこれほどスムーズに遷移できるとは』

「まぁ、ここは霊子で満ちていますから」


 霊子の在り処を探し求めた人類は、その果てに亜空間を発見した。

 そこに、すべての霊子が存在していた。

 神族たちは皆、知らず知らずのうちに亜空間にある霊子を知覚して、引き出し、操っていたのだ。


 かつて神族たちは、生きとし生けるものすべて、命を落とすと霊子に還るのだと信じていた。ゆえに霊子に満ち満ちた亜空間を死者が流れ着く場所――『霊界』と呼称した。今でも『幽門』という言葉が残っているのはそのためだろう。


 ともかく、霊子を知覚できる神族たちは空間のほころびを見つけ自由に幽門を開くことができるが、他種族はそうもいかないので、普通は大型のゲートを設置してそこで霊界へ移動する。

 俺の場合は腐ってもハーヴェンなので、幽門を開くことができる場所でかつ周りに障害物のない遷時空域にさえたどり着けば、自力で霊界に移れるのだ。


 ふふん。……まぁやり方はぜんぶゼル爺から教えてもらったんだが。

 今できるんだから何だっていいだろう。


「このまま目的地までは自動運転で162時間かかりますから、あなたも適度に休んでくださいね」

『お気遣い下さりありがとうございます。デスが心配には及びません。ワタクシは被造物ですから。このまま異常がないか、この場で監視し続けます』

「……では、ほどほどに」


 会話もそこそこに、すぐ機器とモニターのにらめっこへ戻っていくフクレ。

 その姿を見ていると正直気が重たくなってくる。


 シルキーを雇うのは初めてのことで、会話の仕方がわからないというか、意思疎通の取れる相手をこき使うのが気後れするというか……。


 たぶん、俺みたいに丁寧な口調でシルキーと話す同族はいないだろう。

 ハーヴェンにとってシルキーは『創造物』で、シルキーにとってハーヴェンは『創造主』だ。ちょうど神様と人間のようなもの。


「あの、フクレ。私はちょっとぞんざいなくらいの方が話しやすいですからね」

『過分なお気遣い、痛み入ります』

「…………」


 ところで今更だが、何故俺が自分の一人称を「私」にしているのかというと、単純にハーヴェンが使う言語を周りとの会話から覚えていく中で、最初に刷り込まれた一人称が「私」だったからだ。何なら、はじめはハーヴェンたちの言葉には英語でいうところの「I」しか存在しないのかと思っていたくらいである。


 それに――


「それじゃあ私は艦長室にいますから、何かあったら声をかけてくださいね」


 フクレの半透明な体をつついて操縦室を出た俺は、途中、窓に映った自分の姿をまじまじと眺めてみた。


 服は一応仕事に赴く身としてハーヴェン族の民族衣装を着ていて、白地に緑糸で飾り付けられたローブを羽織っている。頭には黄金の小冠。余人はまずその背から伸びる羽に目を奪われるが、すぐに整った顔立ちと艶やかな銀の髪、淡い琥珀の瞳へ意識が移るだろう。小さな顔の中に、すっきりした鼻梁や桜色の薄い唇が綺麗に収まっている。


 一部の隙も無い完膚なきまでの『美少女』だ。

 ……ハーヴェンに性別は存在しないが。


 ともかく、こんな天使が「俺」だなんて、ましてやガサツな言葉で喋るなんて、俺にはとても耐えられない! ギャップ萌えという言葉があるが、俺にとってこんないかにもなクーデレミステリアスヒロインは丁寧な言葉で喋るものなんだよ! そんで終盤でようやく笑ってくれる感じなんだよ!



「そうだろ龍二(しんゆう)! ……なんてな」



 地球に着くまであと一週間。


 ハーヴェンの名を背負い、開拓者として働く以上はまず使命を果たすべきだ。

 もちろん、やり方は俺流でいかせてもらう。

 ただ私用を果たすのは、ある程度仕事が落ち着いてからになるだろう。


 ふと思い出したかつての友の顔をかき消すように目をつぶり、俺は足を動かしはじめた。



   ◇ ◇ ◇



 霊界は霊子以外ほとんど何も存在しない寂しい場所だ。

 時間や空間が捻じれているせいか、他の宇宙船とすれ違うようなこともない。

 ただ一つ、底の方に黒い『道』のようなものが続いているだけ。


 つまり、外を眺めていてもやることがない。

 道中俺に出来ることは携帯食――ハーヴェンが常用しているゼリー飲料は食べ飽きたから他種族の保存食をあれこれかき集めてきた――をかじるか、開拓事業の作戦を煮詰めることくらいだ。あとは時々フクレと会話をして時間を潰した。


 一度、どうして数いるシルキーの中から自分を雇ったのかと聞かれた時は焦ったが……。


 ともかく散々やることもやって暇になった俺は、相も変わらず操縦室で留守番をしていたフクレを捕まえて、これからの方策を話し合っていた。



「ダンジョンを作ろうと思うんですよね」



 そんな俺の第一声に、緑のクラゲはこてん、と頭を傾ける。


『……?』


 地球をいかに開拓して、文明レベル1に引き上げるか。

 という議題で始めた会話なんだから無理もない。


「文明レベル0と1の違いは、霊子をどんな方法でもいいから利用しているか否か。霊子の存在を知っているか知っていないかで、人類として大きな差があるということです」


『それはそうデスね』


「過去の事例を漁ってみましたが、大体はまず現地人に霊子学を教えることからはじめて、自分たちで霊子工学や医療に応用させていくのを導くパターンがほとんどでした。どの分野に誘導するかは開拓社ごとに違いましたけど。当然と言えば当然で、いきなり空の飛び方を教えても雛が飛べるわけありませんから」


 そもそも霊子学は長い長い、気が遠くなるほどの銀河の歴史とともに歩んできた学問だ。それを急にはいどうぞと渡されても、異世界の言語で書かれた教科書を辞書無しに放り投げられるようなもの。理解どころか読み方さえ分からないだろう。


「ところで私には学がありません。はっきりいって、霊子学を知らなくても霊子を操ることができるからです」


 この点が神族のズルいところで、神族たる所以だ。


「そこで考えました。霊子で構成し、霊子を扱わなければクリアできない遊興施設……そう、ダンジョンを地球(げんち)にばらまくのはどうだろう」

『遊びの中で自然と霊子の使い方を体得させる、ということデスか?』

「そう! その通りです」

『そんなやり方、聞いたこともありません……』


 そりゃそうだよなと思う。

 これは前世、つまり山戸耕助だった時の知識というか、願望だ。


 ゲームが大好きだった俺は昔からファンタジー世界に憧れがあった。

 いつか自分も剣や魔法の世界で冒険してみたい!

 そんな夢は大きくなるにつれ馬鹿馬鹿しい妄想へと変わっていったが、夢は夢のまま仕舞われて心の奥底に隠されていた。


 いろんなジャンルのゲームに手を出したが、結局一番ハマったのはRPGだ。

 その世界で遊んでいる時だけ、俺は俺じゃない『主人公』になることができた。


 そういえば龍二と一緒に、ああでもないこうでもないと言い合いながら進めていたダンジョンRPGがあったけど、アイツは俺の代わりにクリアしてくれただろうか……。


 何の因果か転生までして、結局この世に魔法なんてありはしないと知ったけど。

 その代わり、魔法以上のとんでもない世界があることも知った。


「手順としては、人口密集地に迷宮(ダンジョン)に偽装した拡張現実(シミュレーション)空間(ルーム)を形成します。その中では感応器を持たない人間でもシステムの補助で霊子を動かすことができるようにするんです。そして敵と戦わせる」


戦闘(バトル)訓練機(シミュレーター)みたいデスね』


「戦闘以外にも採集活動をさせる予定でいます。価値あるものが産出されれば、自発的にダンジョンへ通うようになるでしょう。また、そのついでに霊子核も手に入るようにしておけば、勝手に使い道を考えると思われます」


 霊子核というのは霊子を一時的に物質化してこの世界に留めたもので、神族以外の種族はこれがないと霊子の力を利用することができない。電池のようなものだ。


 モンスターを倒した時に出るドロップ品にこれを仕込んでおけば、あとは向こうで利用法を探して霊子学の扉を開いていくと期待したい。

 駄目ならさりげなく手を貸すだけだ。


「私はこれを、意図を一切説明せずに行います」

『えっ、何故デスか?』

「その方がモチベーションにつながるからです」


 ……俺にとっても、地球人にとってもな。


 そもそも前世は一介の男子高校生だった俺が、海千山千の政治家とまともにやりあえるはずがない。これからおたくの星を侵略しますよ、でもこんな革新的な技術を授けてあげますよ、なんて上手く説明できる自信がない。


「いいですか、フクレ」


 そんな本当の理由を話すわけにいかないので、俺はここ数日一生懸命考えた方便をしかつめらしく語った。



「一方的な教授ほど、傲慢で、つまらないものはないんですよ」


『……!』



 前世、一体俺が何度歴史の授業で居眠りしたことか。

 今思うと本当に申し訳ないんだが、ちっとも興味がわかなかったんだよ。


 時代小説なら面白く読むけどさ。ただ何年に何が起きて……っていうのを話されるだけなのはちょっとなぁ。


『レグ様の遠慮深謀、御見それいたしました! そこまでお考えになられていたのデスね……!』

「……ええ、はい、まぁ」


 明らかに買いかぶられている。

 否定したいが、するわけにもいかないのがもどかしい……。


 フクレの中で俺の株価が急上昇していることだけは伝わってきた。


『そうデスか、それで()()を船に……』


 ゼル爺はもちろん、新顔のこのシルキーにも、いつか本当のことを話せるだろうか。


 秘密は誰かと分かち合わなければ面白くない。

 独りで抱えていても、ただただ苦しいだけだ。


「フクレ、遷移の準備を。そろそろ外に出ますよ」

『あっハイ!』

「幽門、解放――」


 長かった船旅がもう間もなく終わろうとしていた。



   ◇ ◇ ◇



 霊界を抜けると、そこは天の川銀河だった。


 ……といっても、その名前はきっと地球でしか使われていないだろうけど。


 ステルス機能を起動して、太陽の周りに集う星々の間を抜けていく。

 やがてその先に見えた蒼い星。

 ついにたどり着いた故郷を目前にして、ロゼリア号は歩を止める。


「……ようやく着きましたね」

『ハイ。長旅、お疲れさまでした』


 フクレがくれた労いの言葉に内心苦笑する。

 確かに長い旅だったが、俺が言いたいのはここ一週間の話じゃない。

 帰りたいと思ってから今日に至るまで。


「…………」

『レグ様?』

「なんでもありませんよ、少しぼうっとしていただけです」


 教科書の写真でしか見たことがない蒼海の星。

 ゼル爺との冒険でこれより綺麗な星はいくらだって見てきた。

 それなのに眼がじわりと熱くなるのは何故だろう。


「早速仕掛けに移りましょうか。フクレ、あなたに頼みたいことがあります」

『ハイ、なんなりと』

「今すぐこの星の人口分布図を作ってください。大まかでも構いません」

『拝命いたしました』


 ダンジョンを作るといっても、人の気配がない場所に設置したってしょうがない。

 ダンジョンは攻略するためにあるものだ。

 人の踏み入らないダンジョンなんて、ただ子どもが自由帳に描いた迷路と一緒だ。


「私は霊子加速器の調子を見てきます」


 霊子加速器とはその名の通り霊子の動きを加速させる機械だ。

 器の中に満たした霊子を高速で動かすことにより無尽蔵のエネルギーを生み出す。

 文明レベル1以上の全ての星において使われる最もポピュラーで最も効率のいい発電設備だ。この船も霊子加速器により動力を供給している。


 決して広くはない廊下を抜け、時々管に頭をぶつけないよう気を付けながらエンジンルームへ降りていく。最低限の明かりだけがついている状態なので照明をつけて部屋の奥へと進んでいけば、円環を描く機構を持った加速器が見えてきた。

 軽く診て問題なく動いていることを確認する。


「さて……既に設定は終わらせていますが」


 次いで目をやったのは、加速器に繋がれた32基のコンピューターとそれらをまとめるメインコンソールだ。地球上に再現する予定のダンジョンを一人で全部考えるのは不可能なので、俺はAIの力を借りてそれらを構想した。その成果がホログラムとして投影されている。


 外観・内観はもちろん、出現させるモンスターの種類やドロップテーブルの調整などに問題がないか、最終確認しておこう。

 ハーヴェンの肉体は優秀で、情報処理能力も前世より上らしい。


 そうやって何とはなしにリストを眺めていると、フクレがやってきた。


『何度見ても大がかりな電算機デスね』

「ええ、この船に載せるのはさすがに苦労しました」


 単純にこれよりも大きな演算装置なら山ほどある。

 だが小型艇に搭載するには大げさすぎた。

 それでも懐を削って用意したのにはワケがある。まぁ一部補助金を使ったんだが。


「あらかじめ『型』を用意しておけば、私の操霊術でもこの星にダンジョンを再現することぐらいできます。ただ寝ずの番をして維持し続けることはできない。そこで、ダンジョンの維持管理をこれにやらせようと思っています」


 コンコンと電算機の外装を叩く。


 霊子を扱う操霊術には無限の可能性がある。だが、それを用いる人間には限界がある。

 霊子によって生み出した動力で霊子を操る機構は生み出されて久しく、そうでなければ神族以外の種族が繁栄することなど出来なかっただろう。


「フクレには加速器と電算機の保守をお願いしたいのですが……」

『もちろん、お任せください!』

「ありがとうございます。それで、分布図の方は?」

『ハイ、今そちらに転送します』


 フクレが持つ触腕のうち、一本がぴかりと光る。

 するとダンジョンの設計図を投影していたホログラムにシステムメッセージが現れた。


「助かりました。あとはこのデータも計算に落とし込んで……よし」


 メルカトル図法で描画された世界地図の上にピンが立てられていく。この場所にダンジョンを創造するというわけだ。基本は一国にひとつで、面積が広ければ二つ三つ、逆にまったくない国もある。そこは俺の手動じゃなくAIが導いた結論だ。


 ……日本は東京か。まぁそうだよな。

 都民じゃなかったから、細かい場所まではわからないが。


「ふぅ……」


 これからしでかすことを考えたら今更緊張してきた。

 前世、高校受験で合格発表を見にいった日の朝くらいそわそわして落ち着かない。


 ゼル爺との冒険でも危機に瀕することは何度かあったが、あれは常に保護者が傍にいたようなもので、心のどこかで常に余裕があった。


「原稿は覚えた。と、思います。威厳を持って、冷静に」


 これから俺は地球に住まう全人類に向かって話しかける。

 超常の存在――まるで天使のようにふるまって、ファンタジーがやってきたと誤認させるのだ。

 大して人前に立ったことのない、この俺が。


 呼気が震える。


 やっぱりいっそ、正直に話すのはどうだろう?

 私は宇宙人です。超文明を持った他の星からやってきました。あなた方と仲良くしたいです。こんな力を持ってるんですよ。



「っ!」



 パン、と頬を叩いた。


 仮にそうしたところで、悪意を持って近づいてくる人間を俺は判別できない。

 助けてくれとすがってくる人間をすべて救うこともできない。

 第一そんな面倒なのはごめんだ。


 昔々もその昔、ゲーム好きが高じた俺はテーブルトークRPGに手を出したことがある。

 紙とペン、ルールブックさえあれば遊ぶことができるアレだ。

 動画サイトで見て猛烈にやりたくなったはいいものの、人数を集めるのが難しくて、結局数えるほどしかできなかったが……。


 ――俺は「ゲームマスター」になればいいんだ。


 地球は遊び場で、人類はプレイヤー。


 そう考えれば演じきれる自信が湧いてきた。


 背の翼に集中し、霊子を感じて働きかける。

 地球は文明レベル0の星だ。だからどこにも霊子が取られないで色濃く満ちている。

 その力を使って世界中に声を届けるべく、目を閉じて胸の前で手を組んだ。



「人類のみなさん、こんにちは」



 第一声は震えず消えず。

 唄うように囁くように、星へ響いた――


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