プロローグ
はじめは一人だった。
けれどすぐ、四人になった。
だから四人、旅をした。
退屈な故郷を飛び出して――
仮に背の翼がなくたって、四人ならば何処までも行ける気がした。
死の大地広がる砂の星も。
永久凍土に閉ざされた眠れる星も。
年がら年中喧嘩しているような鬼人の星でも。
小さな宇宙船一つで訪れて、目を輝かせる。
愚かにも、そんな日々がいつまでも続くと思っていた。
自分たちはただ猶予期間を過ごしているだけで。
ほんの少し、大人になるのが遅れただけだと。
理解したのは、また一人になった時。
『ほらゼル! 何してるの、先行くよ!』
そういって手を引いてくれた仲間は、もういない。
有翼人種は生きることを止めた時、誰もが「霊樹に還る」のだという。
何故自分は生まれたのか。
その大命題を解き明かし、満足した者から消えていく。
――ならば、自分は?
どうしてまだ、生き永らえている?
どんなに歳を重ねたところで、答えなど見つからない。
だから老天使は今日も霊樹を見つめ続ける。
そこに在りし日の夢と面影を重ね合わせ――
探し続けている。
自分が生まれた意味。
死する理由を。




