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プロローグ

「人類のみなさん、こんにちは」



 のどかな昼下がり。

 あるいは星が瞬く静かな夜に。


 聞こえてきたその声は、まさに鈴を転がすような可愛らしい声だった。



「突然ですが……」



 まるで時間が止まってしまったように、誰もが静止する中で。

 その声だけが世界中のどこにいても響いていた。



「今日からこの星は変革の時を迎えます」



 人々は、困惑しながらも声の主を探す


 モニター、ガラス、鏡に水面。

 あらゆる面に像が浮かぶ、その出で立ちは――



「私がみなさんに与えるのは、祝福であり試練です」



 まるで、天使のようだった。



「今は分からなくとも構いません。ですが、どうか恐れないで」



 銀の髪をたなびかせ、淡い琥珀の瞳を閉じて、両手を組みながら。

 背に純白の翼を従えて、天使は告げた。



「一人でも多くの方に祝福が訪れることを――切に、祈ります」



 それから、音が蘇る。


 動き出した時の中で、誰もが白昼夢を疑った。

 けれど皆が皆同じ体験をしていたことに気がつき、混乱が巻き起こる。


 そして戸惑う人々をあざ笑うかのように超常現象が舞い降りた。


 ある場所では天を衝く摩天楼が。

 ある場所では地底を切り裂く大空洞が。

 ある場所では荘厳な神殿が。


 幾多もの『迷宮』が瞬きの間に現れ出たのだ。


 後に『ダンジョン』と呼ばれる魔窟が現れた日のことだった。


 最後の審判、迷宮事変。

 人々はこの日のことを思うがままに歴史に刻んだ。

 それをもたらした天使の絵姿とともに。


 けれどどの歴史を紐解いてみても、真実に辿り着いたものは一つとしてなかった。


 まさか、誰が思うだろう。


 世界に混沌をもたらした『天使』の正体が。

 久々に地球(くに)へ帰ってきた、()()()()()の転生者だと……。


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