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3、フェーズ


何かがおかしい。

いや、何がおかしいかといえば...おかしくないのかもしれないけど。

確実に何かが起こっている。

そんな気がする。

学校でよく幸奈は疲れて居眠りをする様になった。


そしてどんどん何だか教師の信頼が落ちている。

俺はその幸奈を見ながら過ごしていた。

それから1週間後。

幸奈は遂に学校に来れなくなった。

何が起こっている?


そう思いながら目の前の飯田芽美いいだめぐみを見る。

黒の長髪。

そして母性豊かな顔をしている。

母親的な感じのふくよかな女子だ。


俺の友人であり腐れ縁の女子。

芽美は問題を解いていた。

そんな芽美に申し訳無いと思いながらも聞いてみた。


「芽美」

「ん?なーに」

「アイツをどう思うよ?幸奈」

「...あー。でもあの子、浮気したんでしょ?貴方を裏切って」

「そうだけど...」


そんな会話をしているとスマホが鳴った。

それは通知であった。

それも幸ちゃんからの通知である。

俺はスマホのロックを解除して画面を見る。


(先輩。お姉ちゃん寝込みましたね)

(待て。お前何かしたか?)

(さあ。何もしてないですけど。...それより先輩。放課後にデートしませんか)

(質問に答えろ。お前は...)

(何もしてないですよ。本当に。相手が勝手に自滅して行っただけです)


自滅して行ったってコイツ。

思いながら額に手を添えてから(お前しか考えられない。...こうして一気にアイツの調子が悪くなったのは。お前この前に会った時にろくでもない事を言っていたじゃないか)と文章を打って送信する。

すると数秒間、幸ちゃんは沈黙した。

そして(睡眠薬混ぜてます)と告は...は?


(ど、どういう事だ)

(簡単です。成績優秀者が堕ちたら結構ダメージデカいですよね)

(待て。論点はそこじゃない。お前...犯罪行為をしているのか)

(これの何処が犯罪ですか?私はそうは思いません。ただ睡眠薬を混ぜているだけですしね)

(...鬼畜か)

(あくまで復讐です。鬼畜じゃないです。それにもう彼女は赤の他人だ。私はそう思います。家族に感じれませんしね)


そう書きながら幸ちゃんはニコッとしたキャラもののスタンプを送ってくる。

俺は汗が噴き出た。

それから(お前。今直ぐに止めろ。マズいって)と書く。

すると(具体的には何がマズいんですか?傷害罪ですか?殺人未遂ですか?いずれにせよ寝てもらっているだけです)と書かれた。


「...!」

(私はあくまで寝てもらっているだけです。それで捕まるなんておかしな話ですよ。それに先輩。悔しくないんですか?貴方は)

(そりゃ悔しいけど...これは違うだろ幾ら何でも)

(私はそうは思いません。それにこれはフェーズ1です。まだまだですよ)

(...お前マジに捕まるぞ)

(捕まるとかそういう次元の話をしている場合ですか?先輩は甘いです)


(私は決して諦めません)と書く幸ちゃん。

俺はその姿を見ながら汗をかきながら(分かった。もう何も言わない)と記載する。

それから送信してスタンプを送る。

すると芽美が俺を見ている事に気が付いた。


「どうしたの?」

「...何でもない。試験対策をするか」

「そうだね。試験対策は大切だよねぇ」

「...」


俺はその姿を見ながら考え込む。

寒気がする。

何がどうなっているのだ。

そう思いながら俺は「何も起こらない様に」と呟きながら試験勉強をした。

それから俺は窓から外を見た。



フェーズを3段階に分けた。

1は睡眠薬。

2は何かしらの復讐。

3は家から追い出す為にどうにかする。

その様な感じのフェーズだ。


私はニヤニヤしながら屋上で外を見ていた。

薄ら笑いを浮かべても居る。

先輩の教室の方角を見ながら私は計画書を纏める。

丁度...お姉ちゃんは学校に来なくなった。

集中力が無くなった様だ。


「まあそれはそれで仕方が無いよね。それなりに耐えてもらわないと面白みがない」


そう言いながら私はまた薄ら笑いを浮かべながらベンチに腰掛ける。

そして計画書を眺めていると屋上のドアが開いた。

それから「ここに居たか」と先輩が顔を見せる。


「...先輩じゃないですか。...もしかして一緒に復讐したくなりました?」

「確かにアホに薬は要る。だけど...これはやり過ぎだと思う。いつかお前が捕まってしま...」

「先輩。私は先輩が好きなんです」

「は?」

「私、貴方が好きだからこうしているんです」

「...!」

「心から好きです。何なら...今この場で貴方に全てを捧げても良い」


私はニヤッとしながら制服を脱ぎ始める。

丁度、ブレザーに手をかけた時に「わ、分かった」と止められた。

それから「お前が俺を好きだというのはよく分かっている。だが...」と言い淀む。

私は「そうですかぁ」と言いながら制服を着る。


「だから...」

「じゃあキスぐらいなら良いですよね」


そして私は「は?」と言う先輩の頬を両手で掴み。

そのままキスを交わした。

先輩は私を突き飛ばす。

私は口角を歪ませる。


「先輩。私は貴方が好き。大好き。だから尚の事止めません。私は地獄に堕ちても構いませんが貴方は生き残って下さいね」

「...!」

「決めました。フェーズ2はお姉ちゃんから幸せを奪いましょうか」

「...!?」


先輩は唖然とする。

だが私はニコッとして先輩を見る。

変わらずの風が吹いている中。

私は髪の毛を押さえた。

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