2、崩壊
☆
私の名前は下村幸。
幸という名前は元は橋本だった。
橋本幸から再婚してから下村幸になった。
まあ名字が変わったとかただそれだけのどうでも良い話だ。
私はそんな事より今は復讐心に燃えている。
どういう復讐心かといえば。
簡単にいえばお姉ちゃんに対する。
自らの姉に対しての復讐心だ。
あまりに絶望的で。
そしてあまりに非道すぎる姉に復讐する。
勿論、痛めつけるとかそういうのは出来ない。
何故なら法を犯す事になる。
ならばどうするか。
そうなるとじわじわ気が付かれない感じで痛めつけるしかない。
私はその事を考えながら自宅に帰っていた。
そして玄関を開けてからそのまま挨拶し部屋に戻る。
それから今は居ない姉の事を考えて復讐計画書を作る事にした。
私の大切な先輩を痛めつけたそれ相応の罰は受けてもらうつもりだ。
あくまで私は先輩が好きだ。
だからこそこんな真似をしたヤツを許す訳にはいかない。
そう思いながら私は復讐計画書をボールペンで刻んでいった。
正直、私はこの家を出て行きたい気分だが。
その前に姉を追い出したい。
それから話を進めて行こうと思う。
思いながら私は復讐計画書を組み立てていく。
すると「ただいまー」と声がした。
私はゆっくり計画書を鍵の開いたケースに仕舞い。
それから鍵を掛ける。
ここは私の秘密の部屋だ。
鍵を掛ける事が出来るし、だ。
「お姉ちゃん。お帰り」
「うん。ただいま」
何も思わない感じで帰って来やがってこのクソ女。
そう思いながらも私は目の前の美少女もといビッチを見る。
茶色の髪の毛をした顔立ちの小さい女の子。
目鼻立ちが整っている様な...というかまあどうだって良いけど。
「どうしたの?まじまじと私を見て」
「うん?何でもないよ。お姉ちゃん」
私は睡眠薬をジュースに混ぜようかと思っている。
まあそして精神面を崩壊させる事にした。
私はあくまでお姉ちゃんを許さない。
幸奈を許す気は無い。
☆
「今日も大変だった?」
「私?私は...まあ大変だったよね。やっぱり部活がね」
「そっか。部活動大変そうだもんね」
「そだねー」
部活が大変とか言っているが。
私は全て知っている。
この女が何をしているのか。
多分だがラブホで別の男とセックスでもしているのだろう。
気持ちが悪い。
「ねえ。お姉ちゃん。具体的に部活って何をしているの?」
「ああ。私の部活?文芸部だけど...小説を作っている」
「...新聞もだよね」
「そうだね」
ひょうひょうと嘘を述べる幸奈。
私はその言葉を半分本気で。
半分嘘で捉えている。
よくもまあここまで嘘が吐けるものだ。
「先輩とは良い関係?」
「先輩。ああ。裕太郎?うん。良い関係だよ」
「...そう」
私は目の前の幸奈の麦茶を見る。
さっき私が入れたものだが。
中身は遅効性の15歳ぐらいから飲む睡眠薬が入っている。
何故睡眠薬かといえば。
正直、怪しまれずに毒物を買うのは無理があった。
試しと思って飲ませている。
「それにしても部活が大変だったのか眠たいなぁ」
「そう?じゃあ休んできたらどうかな。私が宅急便とか受け取るし」
あまりの事に笑いが止まらない。
が。
それを表に出すと一発で疑われる。
だから隠すのに必死だった。
やはり効いている様だ。
「かなり眠そうだね」
嘲笑うかの様に聞いてみる。
すると幸奈は「そうだねぇ。何だか疲れているんだろうけど」と言いながらフラフラと足を揺らしながら二階に上って行く。
私が混ぜた薬は第二類医薬品の市販の睡眠薬。
流石に第一類は買えなかった。
怪しまれる。
まあ良い。
正直、私が復讐計画を立てる上で必要な1つだ。
だからこそここから発展させていこう。
私が思ったのは。
(彼女に睡眠薬を飲ませて生活リズムを徐々に削っていく)
という事を考えてみた。
まあとは言っても毎日、睡眠薬を飲ませると残留するかもしれない。
しかし所詮ばれたところで私が疑われるのは皆無だろうけど。
何故なら私がそんな事をする意味が分からないから。
やり過ぎたらマズいだろうけど。
幸奈はあくまで成績優秀な化け物だ。
だがその成績優秀者も流石にこういう事を毎日されると成績も落ちるだろう。
美談に終わると思う。
これぐらいの天罰があっても良いだろう。
「私は絶対に許さないからね。お姉ちゃん。覚悟して」
そう呟きながら私は考える。
それから私は夕食にも睡眠薬を飲ませる。
そしてお姉ちゃんのバランスが崩れていった。
何が起こったか。
具体的に朝、寝坊する様になったりしたのだ。
当然、遅刻は幸奈側に大ダメージが起こる。
私は「知ったこっちゃない」と呟きながらも笑いが止まらなかった。
部活も模範生だったけど。
転落すれば良いと思う。