第二話
「んンッ、、」
「気がついたか、、、大丈夫か?フライ。」
気がついた。
誰だこの人? 目の前におそらく70歳は超えているであろう、ヨボヨボのお爺さんが座っていた。それに、周りには痩せ細った60歳ぐらいに見える老人から、10歳にも満たないぐらいに見える幼子まで、数十人がぎゅうぎゅう詰めになって、俺のことを心配そうに見つめていた。
そして中には人間に見えるが、長く尖った耳に、手に拘束具が付けられている者などが混じっていた。
どういうことだ?
ん? もしかして俺のために寝るスペースを確保してくれていたのか。
今気づいたが、俺が寝ていたところにだけ、若干のスペースができていた。
俺のためにスペースを開けてくれたのか、
フライ?、、、もしかして俺のことか?
なんとなくだが。状況が理解できた気がする。
おそらくだが、俺、異世界に転生した?
まさかな、
「どうしたフライ?そんなポカンとした顔をして。 まさか!? お前さん、記憶が、、、」
どうやら爺さんは勘が鋭いらしい。
俺、そんなに顔に出てたかな?
「ああ、そうだよ。残念だけど、あなたの事が分かりません。
それに。すみませんが、ここが何処か自体、分かりません。」
「そうか。お前さん、混乱している顔をしているからなぁ。やはりか。
お前さんが、何処の、誰で、何をしているか、説明してやる必要があるかぁ。心して、聴くように。」
周りの人たちは静かに、目を閉じ、俺のことを見る爺さんは、口を開いた。
、、、、、、!?
お爺さんの話を聞き、自分自身、この場所、この世界について、なんとなくわかった。
頭は大混乱だ。
混乱しながらのため詳しいことは聞き逃したが、俺の名前はフライハルト。愛称でフライと呼ばれているらしい。
そして俺の身分。
”奴隷“
、、、これを聞いた時、衝撃を受けた。
まあ、自分の痩せ細った体と、周りの人達の姿を見たら、なんとなくは分かっていたが、、前世では社畜、そしてこの世では奴隷なので、俺はつくづく運がないなと思った。
あと、奴隷なのでもちろん働いているところはそれなりのところで、大規模な農場らしい。
この農場は、ここの領地の領主の部下が経営している農場で、簡単に説明するとここの土地を持っている領主の部下が作った農場らしい。
そして何より奴隷に人権は無いように扱われていて、使えなくなった者から殺されていくらしい。替えはいくらでもいるというのはそういうことか、、
ちなみに説明をしてくれたお爺さんはヨゼフ爺。
この農場で一番高齢なので、実質長老みたいな人らしい。
俺がここに来てからずっと可愛がっていたらしいが、まあその記憶は無いんだけどなぁ。
とりあえず現状はそんな感じらしい。
話が終わると、ヨゼフ爺含め、周りの人達も皆寝静まった。
俺はと言うと、まだ眠れていない。
周りをよく見ると、俺たちが寝ているところは木でできた倉庫みたいな物だった。
狭い。壁に立て掛けてある松明だけが、狭い部屋を薄暗く照らしていた。
皆埋まるように、座って寝ていた。
それぐらいスペースが無いのに、俺のところだけは寝られるようにと地面は土だが、なんか、布みたいなのが用意されていた。
「人ってあったかいなぁ、」
ここの人達の思いやり、自分の惨めな姿に、少し泣いてしまった。
心が折れそうになる。
”でも、この人達となら!“
心の中で誓った。ここで生きていくって。
そう誓い、俺は静かに寝た、、、
「おーい。まだ寝ないでよ。お話しまだだよ〜。」
「え!?」
突然、目の前から声がした、、、
第二話 ーヨゼフ爺ー