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第九話

その日の作業が終わり、夕陽が落ちかかっている頃、やっと仕事の終わりを知らせる鐘が鳴り、寝泊まりをする倉庫のようなボロボロの宿舎に戻った。

その帰る途中、


「お疲れさん、」


と、小さな声で声をかけてくれた人物がいた。


「ギルノール!」

「シッ、あんまり大きな声は出さない方がいい。監視兵に目をつけられる。

ところで、行けそうか?フライ。」

「一応な。覚悟は決めてある。」


昼休憩後の作業中、今後のことを考えていた。

この農場を出た後のことだ。

ヨゼフ爺と、何処どこか遠くへ行って、静かに暮らす。

まさに異世界スローライフってところだ。

そのために、まずは目の前の壁に立ち向かわなければ。

そう思いを馳せつつ、俺たちは宿舎へと戻って行った、、、



深夜、、、


「そろそろ行くか?」


寝ているフリをしていた俺のところに、ギルノールが来てくれた。

寝ているフリと言っても、緊張しすぎて眠れていないだけだが、


「ああ、行ってくるよ。

ヨゼフ爺をよろしくお願いします。」

「任せろ。後は頼んだぞ、フライ。」


俺とギルノールの眼は決まっていた。

覚悟の出来た眼だ。

どちらか一方が失敗したら、おそらく両方とも監視兵に捕縛され、最悪処刑されるだろう。

だけど、諦めてたまるか!


そう思いつつ俺は、宿舎の扉を開けた。

幸さいわいにも、監視兵等の監視は無かった。

そうして俺は、薄暗い夜の農場へ走って行った。


が、しばらくしてすぐ戻って帰った。

宿舎の扉に向かって、小さな声で、


「ギルノール、ギルノール。」


と呼んだ。

すると、


「どうした、早かったな。何かあったのか?」


ギルノールも声を殺して返事をした。

そして俺は失敗を言った。


「魔法使いってどこに居るんだ?」

「あ、、、言って無かったっけ?」


互いに考えていなかったこと。

それは、


「「そう言えば魔法使いの所在、聞いて(教えて)無い!?」」


ということで、ギルノールに聞いてから、俺は再度出発した、、、




俺が今から向かう場所。それは、毎日朝と夜に俺たちの宿舎の出入りの時間を知らせる鐘が設置させられている塔らしい。

とは言っても、、、まず遠い。

俺たちの管轄の農場から大体10キロぐらいは離れていそうなところにある。

そのため、そこまで行くのに何重にもある柵や壁を越え、幾度となくある他の農場を抜ける必要があった。


監視兵に見つからないように道中、早歩きで姿勢を低くしながら移動した。

とは言え、なぜか分からないが、俺たちの管轄の農場と合わせて通った3つ目までの農場は、監視兵を1人も見なかった。


ガサガサッ、ガサガサッ、


いったいなぜだろうかと思っていたら、突如、近くで足音が聞こえた。

あまりに突然過ぎたのと怖すぎて、動けなくなったが、なんとか近くの畑に身を伏せて隠れることが出来た。


ふと、声が聞こえた。


「おい、大丈夫なのか?監視兵が近くまで来ていたが、」

「大丈夫だって、ほら、あと少しだ。あと少しで壁にたどり着く。そしたら、農場から出られるに違いない。

出られたら、後は仲間に合流するだけさ。とにかく走れ!」


ああ、なるほど。

おそらくだが、俺と同じく脱走しようとしている奴らだったのだろう。

隠れもせず、走って逃げようとしていたようだった。

彼らの話し声と走り去った音が聞こえた後、明かりと足音が聞こえた。


「どこに居るのだろうか?」

「さっきこっちで見たと聞いたが、」

「もしかしたら、畑の中とかだったり、」

「一応探しておけ。」

「了解です。」


不味かった。

監視兵の方々は、俺の隠れている畑に近寄ってきた。

“あ、これダメだな、”

捕まることを確信し、あと10メートルぐらいの距離に兵士が捜索している時、


「おーい!こっちに居たぞ!」


遠くから、大きな声が聞こえた。

そして、近くの捜索していた兵士たちも皆、声のする方へ行ってしまった。


「あ、あっぶねー」


思わず心臓が飛び出そうだった。


「危なかったわね、」

「ああ。」


頭の中にいたフライヤも思わず緊張していたようだった。

ん?

ふと、名案が生まれた。


「フライヤ、ちょっと頼み事していいか?」

「え?私に?」




「なんで私が先行しないと行けないのよ〜、飛んでても疲れるんだけど〜、」


フライヤは天使?まあ、堕天使の(たぐ)いな気もするが、普通の人には見えないのと、俺の頭を貫通できるように、壁を貫通できることを思い出したので、俺よりも先に先行して、監視兵が居ないかチェックしてもらうことにした。

俺自身、結構名案だったと思うが、フライヤからしたら、たまったもんじゃよ無かったらしい。

まあ俺には関係ないが。


そのおかげもあり、いちいち先に周りに監視兵がいるか気にする必要がなくなり、およそ1時間かけて、魔法使いのいる塔に着くことが出来た、、、





〜フライの脳内より〜


ピコンッ。ピコンッ。


「ん?また通知?面倒ね、疲れてるのに〜」


頭の中にいたフレイヤの元に、二つの連絡が来ていた。


ー実績が解除されました。解除された実績「、、、、、、」ー


「なるほど、え?実績の一個、私に喧嘩売ってない!?」



解除された実績


「革命の卵」

「エルフとの共闘」

「封印されしエルフの、、、」

「天使の酷使」←NEW

「闇に隠れる才能」←NEW

第九話 ー夜の闇に隠れてー


次回、やっと塔内の話に入ります。

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