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【書籍化】その亀、地上最強【コミカライズ】  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)
第二章

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 パーティー会場は泊まっている宿を少し離れたところにある、ボルゴグラード男爵の屋敷にある。

 手配してもらった馬車に乗り、会場へと向かう。


「……」


 外を見つめていたカーチャの顔は、緊張で強張っていた。

 その横顔を見ながら、僕は自分に言い聞かせる。


 言動で忘れてしまいそうになるけれど、彼女はごくごく普通の女の子。

 他国の重鎮なんかと話すんだから、緊張するのも当たり前。

 だから年上の僕達が、フォローしてあげなくちゃ。


「大丈夫だよ、僕らがいるから」


「みぃっ!」


 僕の肩に乗ったアイビーも頷いてくれる。

 アイビーは何を思ったのか、魔法を発動させる。


 現れたのは――ぷかりぷかりと浮かぶ泡だった。

 水魔法で作られた泡は宙を舞い、キラキラと光っている。


「すごい綺麗ね……」


「――わっ! ブルーノと妾じゃ!」


 感嘆するシャノンさんの隣で、カーチャが指を差す。 

 その先にあるのは――僕とカーチャにそっくりな泡だった。

 祭りで出るお面のような、ちょっとデフォルメされた感じの僕達の顔が浮かんでいる。


「みっ!」


 アイビーが気合いを入れると、その隣にまた新たな泡ができていく。

 シャノンさんにサンシタ、そしてアイビー。


 他の人達は皆顔だけだけど、なぜかアイビーだけ全身モデルだった。

 そしてなぜか、アイビーだけ実物よりかなり美化されているような気がする。

 アイビー、君……こんなに目もキラキラしてないし、足も長くないよね?


「……みっ!」


 僕が顔を向けると、アイビーはぷいっと顔をそらしてしまう。

 どうやら彼女の機嫌を損ねてしまったらしく、その頬はぷくっと膨らんでいた。


 僕らのやり取りを見ていたカーチャが、ぶふぉっと乙女が出しちゃいけない音を鳴らしながら、おもいきり噴き出した。


「ふふっ……」


 そして少し落ち着いてから、口に手を当てて上品に笑う。

 いつものように自然で、どこか人好きのする快活な笑みだ。


 どうやら、肩から力が抜けてくれたみたいだ。

 アイビーの頬を押しつぶすと、ぽひゅっと情けない音が鳴る。


 機嫌が直ったのか、こちらに振り向く彼女。

 その顔は、仕事で疲れたくたびれた中年のおじさんみたいだった。


「突然の変顔っ!?」


「ぷっ」


 今まで我慢していたシャノンさんにもとうとう限界が来た。

 そして僕とシャノンさんが笑っているのを見て、カーチャはまたお腹を抱えて笑い出す。


「あっはっは……ありがとうな、二人とも!」


 どうやら緊張は完璧にほぐれたらしい。


 既に顔を戻しているアイビーにグッと親指を立てると、彼女が前足を上げた。

 僕はその意に沿って、彼女に向けてハイタッチ!

 やったねアイビー、僕らの勝利だ!


 勝利の余韻に浸りながらシャノンさんと目を合わせると、なぜかウィンクされた。

 ……それ、どういう意味ですか?


 馬車の中の雰囲気が、一気に和やかムードに一変した。


 このままパーティーに一生着かずに、馬車の中で一日を過ごしてしまえればいいのに。

 思わずそう考えてしまうほど、中は快適な空間に早変わりしていた。


「それにしても似合っておるのぉ」


「いやあ、それほどでも……」


「ブルーノではない、アイビーの方じゃ!」


「勘違いする男って、痛々しいわよね……」


 カーチャ、シャノンさん、そしてアイビー。

 向けられる三対のジト目。


 そ……そんな目で見ないでってば!

 僕が、僕が悪かったです!


 とまあそんな具合で僕が悪者になったりならなかったりしながら、道中の時間を楽しく過ごし。

 こんな風に何事もなくパーティーが進めばいいなと思っていたんだけど……。
















「どうも、ブルーノ殿にアイビー殿。セリエ宗導国の教皇をしている、ラドグリオンⅦ世と申します。どうか気軽にラディと呼んでください」


 ――どうしてパーティーに教皇様がいるのさ!?

 そして彼……なんだかとってもフランクなんだけど!?

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