同行者
カーチャに同行することを決めてから一週間後。
諸々の準備を終えた僕達は、アクープを出発することができるようになった。
まず最初に目指すのは、昏き森で合流するという話になっている向こうの国の使節団の人達との合流である。
一応今回はカーチャの私的な訪問ということで物々しいお出迎えやド派手な社交パーティーなんかは行われないらしいけど、それでも最低限の体裁というやつは整える必要があるんだってさ。
「馬車に乗らなくていいのは楽だねぇ……」
「みいっ!」
肩に乗っているアイビーも、どうやら今日は機嫌がいいみたい。
彼女はのんびりと目をつぶりながら、身体を僕に預けてくれている。
どうやら今は歩くんじゃなく、休んでいたい気分のようだ。
【風が気持ちいいでやんす!】
前回は一人(一匹?)で待ちぼうけを食らっていたサンシタも、今回は同行できるとあってるんるん気分だった。
――そう、今回はサンシタの同行が認められることになったのだ。
いつもは仰々しいというか問題ごとに発展しかねないからと許可が出ないというのに、今回のエンドルド辺境伯は大盤振る舞いである。
どうやらカーチャの護衛としては頼りなさそうに見える僕達が、相手国に見くびられないようにって意味合いが強いみたいだ。
今はサンシタの上に乗って、久々のグリフォンライダーとして旅を楽しんでいる。
なんやかんや、アクープの街では僕達はちょっと有名になりすぎてしまった。
最近じゃあ降りたら人に集まられることも増えたから、ちょっと場所を選んだりしなくちゃいけないことも多いしね。
何にも気にせずに自由でいられると思うと、ちょっと気分が楽だ。
「あははっ、高い高ぁい!」
ちなみに僕の後ろには、カーチャが乗っている。
安全の確保は、僕もアイビーもいるから安心だ。
「うん、これは楽しいなぁ! 私のことも誘ってくれて嬉しいぞ!」
そして今回の旅の同行者は、他にもいる。
以前僕らと一緒にグリフォンをどける依頼をこなした、一等級冒険者のシャノンさんだ。
これもまた、サンシタの同行が許されたのと同じ理由。
一等級冒険者がついてくるというのには、それだけの意味があるのだ。
今回のメンバーは、これで全員。
ちょっと少ないと思うかもしれないけど、エンドルド辺境伯はとにかく無駄というものを嫌う人だからね。
僕らがついているんだから、わざわざ見栄を張るために護衛をつけるなんてことはしない。
サンシタに乗って集合場所まで行けば、馬車なんかで行くよりもよっぽど安全で、スピードも速いしね。
グルルッとサンシタが唸るのを、カーチャは見逃さなかった。
「ブルーノ、サンシタはなんと言っとる?」
「【まだまだ速度出せるけど、どうする?】って聞かれてるよ!」
「それならもちろん、最高速でゴーじゃ!」
「グルルッ!」
言葉は理解できてないんだろうけど、どうやらカーチャの言葉はサンシタに届いたみたい。
サンシタはちょっと溜めを作ったかと思うと、グンッと一気に加速した。
よし、それならカーチャの言う通り、最短で向かうぞ!
こうして僕達は二日もかからずに、集合場所である昏き森の池へと辿り着くのだった。
さて、どうやらまだ向こうの人達はいないみたいだけど……どんな人達が来るのかな?
友好的な人だったらいいな。
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