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【書籍化】その亀、地上最強【コミカライズ】  作者: しんこせい(『引きこもり』第2巻8/25発売!!)
第二章

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力と力


「偽物って……偽物の英雄ってことですよね?」


「ああ、英雄ということらしいな。そいつの何よりも許せないことは、なんでも勇者を名乗っているらしいという部分だ」


 一縷の望みをかけて聞いてみたけれど、現実は残酷だった。


 そして誤解です、それは本当に誤解なんです。


 勇者は名乗っているんじゃなくて、みんなが勝手に言いだしただけなんですって!

 僕自身、一回も「我は勇者なり」とか言ってませんから!


「でもどうしてレイさんが、その人を倒しにきたんでしょうか?」


 対話の糸口はどこかにないかと探してみる。

 レイさんはなぜだかすごく好戦的だけれど、僕としては当たり前だけど戦いたくなんかない。


 サンシタがかみつけない時点で、レイさんの力は異常だ。

 アイビーは自信ありげだけど、もうこれ以上変な目立ち方をする必要はない。


「なに、気にくわないってだけだ。個人的な私怨のようなものだよ」


「それはいったい、なにに対してでしょうか?」


「勇者の看板を負うことの重さを、そいつが知らないことへの怒りだよ。そのために無理を言って村を出てきてしまったくらいだからな」


 とりつくしまもないとはこのこと。

 どうやらレイさんは相当頭にきているようで、何を言っても聞いてくれるような様子はない。


 ちらりとアイビーの方を向く。


「みいっ!」


 任せて、と彼女は告げていた。


 後になって色々と聞き込みをされてから発覚するより、今言ってしまった方が今後のことを考えればいいはずだ。


 なので僕は、少しためらいがちにこう告げることにした。


「あの、レイさん。大変申し訳ないんですが、一つだけ言ってもいいでしょうか」


「ああ、なんでも言ってくれて構わないぞ」


「その英雄を名乗る人物……多分、僕のことです」


「……なんだと?」


 瞬間、彼女が纏う気配が変わる。

 そしてビリビリとした殺気のようなものが、僕に叩きつけられるのがわかった。


 重たく、ねばつくような何かが、僕の肩や頭へとのしかかってくる。

 まるで空気自体が粘度を持ったかのようだった。


 これが、プレッシャーってやつなのか。


「――話を、聞かせてもらおうか」


 先ほどまでの優しげな瞳は完全に消え、鋭い眼光で僕のことを睨んでいる。


 そしてまばたきをした次の瞬間――彼女の姿が消えたっ!?


 ギイィンッ!


 彼女がすぐ近くまでやってきたことに僕が気付くより、アイビーが張ってくれた障壁が発動する方が早かった。


 レイさんの手は障壁に弾かれる。


 どうやら僕に触ろうとしたみたいだ。


 彼女は驚いた様子で即座に距離を取り、弾かれた手をプラプラと左右に振る。


「すごいな……一瞬で反撃までしてみせるとは」


「みい」


 ブルーノに触れるな、とアイビーはレイさんの方を見つめながら、明らかに怒った様子だ。 対しレイさんはアイビーに目を向けることはなく、ジッと僕だけを見つめている。


 どうやらレイさんは、今の一瞬の攻防をしたのは僕だと思っているようだった。


 訂正をしたいところだけど、そんなことができるような雰囲気でもない。

 すぐに何かしようとしてきたあたり、レイさんはその、かなり……おかんむりなようだから。


「殺しはしない……が、少し本気でいかせてもらうっ!」


 鞘と刀身が擦れるスラリという音。

 抜き身になった直剣は、赤く輝いている。


 一目見て、ただの剣じゃない。

 恐らくはダンジョンなんかから産出すると噂の、マジックウェポンってやつかもしれない。


「みいっ」


 任せて、とアイビーの声。


「うん、任せるよ」


 だから僕は、アイビーを信じる。


 レイさんは相当に強いと思う。

 けれどうちのアイビーだって……それに負けないくらい強いんだから。


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