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挙手


「今回参加させていただくことになりました、ブルーノとアイビーです! よろしくお願いします!」


「みぃ!」


 僕たちはそのまま軽く説明を受けてから、応接室の二つ隣にある部屋へと連れていかれた。


 部屋の入り口のドア横の黒板に書かれているのは、『対グリフォン作戦会議』の文字。


 どうやらギルマスは、僕たちを説得したら、そのままこちらへ連れてくる算段だったらしい。


 一応依頼明けだし、休みのこととかも考えてくれると嬉しいんだけどなぁ……。


「僕はアレク、こちらこそよろしくね。いきなりの大抜擢大変だろうけど、一緒に頑張っていこう」


 グッと親指をこちらに突き出しているのは、アレクさん。


 二等級パーティー『オブシディアン』のリーダーとして活躍されている方だ。


 自分の背丈よりも大きな大剣を、壁に立てかけている。


 着ているのが真っ黒な鎖帷子だし、武器も物騒だし、顔も強面で恐そう。


 でも一番最初に気さくに声をかけてきてくれたのはアレクさん。


 人間の第一印象なんて、やっぱりあてにならないな。


「いえいえ、よろしくお願いします」


「みー」


 何か気の利いたことの一つでも言おうかと思ったけれど、残念ながら僕にそんなことができる話術のスキルはなかった。


 当たり障りのない返事しか返せない自分が悔しい。


 アイビーの役に立てないのは、嫌だ。


 頼りっぱなしじゃなくて、互いに頼り合えるような関係に、なっていけたらって思う。


「話には聞いてるよん、期待してるから」


「あはは……お手柔らかにお願いします」


「どかすのは俺らがやるからよ、まぁ見学くらいの気持ちでいりゃあいいさ」


「そうですね、あまり深刻に考えすぎないよう気を付けます」


 アレクさんを皮切りに、色々な人が声をかけてきてくれた。


 先ほどまでしていたであろう作戦タイムは中断され、僕とアイビーへの挨拶の時間が始まってしまっている。


 魔法使いの人なんかは一見しただけだとわからないけど、戦士とかの前衛の人はやっぱり皆すごい体格をしている。


 武器も防具も物々しいか、一目見てなんだか高そうだと感じるものばかり。


 そして悲しいことに、従魔師(テイマー)の人はいなかった。


 従魔師で一線級の人は、滅多にいないという話は聞いたことがある。

 それだけ強い従魔を従えることが、難しいかららしい。



 でも二等級以上の人達が一同に会しているというのは、なんだか物語に出てきそうな光景だ。


 冒険者の中の一流どころを集めると、こんな感じになるんだなぁ。


 一つ気になった点と言えば、二等級パーティーの中にはちらほらと僧侶と呼ばれる回復や防御の魔法に長けている人達がいることだろうか。


 もしかしたらということもあるので、彼らの前でアイビーの回復魔法を使うのは、できるだけ避けた方がいいだろう。


 彼らに見られたら、一発でアイビーが上級の回復魔法が使えるとバレてしまうだろうし。


 冒険者の風の噂という奴で知ってはいるだろうけど、サラさん曰くそう簡単に信じられはしないって話だし。


 まぁ、そう遠くないうちにバレてはしまうだろうけど……どうせならそれまでにはエンドルド辺境伯と面会をして、保護とかを取り付けておきたいな。


「そして私がシャノン、この対グリフォン部隊のリーダーを務めさせてもらっている」


 僕がグリフォンを相手にアイビーがどこまでやっていいものかと悩んでいると、テーブルの一番奥、入り口の僕とは反対の位置にいる女性から声をかけられる。


 紫色の髪をした、なんだか露出度の高い装備をした女性だ。


 こういうのたしか軽戦士っていうんだっけ?

 身軽さを重視して、手数とかで勝負するタイプの前衛だったはず。


 着ている鎧は胸や腕等のパーツごとに固定されているだけで、二の腕とかへそとかが丸見えになっている。


 自分の身体に恥じるところなどないとばかりに、シャノンさんはその肢体を惜しげもなく晒していた。


 彼女がこの場所にいる唯一の一等級。

 ソロでランクを駆け上がり続けた『迅雷』のシャノン。

 この街でいちばん有名な冒険者だ。


 前衛だというのに、他の人達と比べると身体が小さい気がするけど……見た目だけで判断すると痛い目に遭うんだろうな。


 実はものすごい筋肉を、魔法か何かで内側にでもしまっているのかもしれない。

 そんな魔法があるのかどうかは、知らないけど。


 こうして僕達は全く歓迎されないということも、『おいおい世間知らずのガキはママのおっぱいでもしゃぶってな』的な手荒い歓迎を受けるようなこともなく、結構すんなりと受け入れられた。


 もしかしたら事前に、アンドレさんあたりが話を通してくれたのかもしれない。


 それかアンドレさんと戦った時の情報を聞いて、皆が有用だと判断してくれたりとかするのかも。


 どちらにせよ、僕たちはまだ冒険者のイロハも知らないペーペーだ。


 あまり損な役回りを受け持ったりしないようにだけ気を付けて、あとはシャノンさんの話を聞くことにしよう。






「まずこの中でグリフォンと戦ったことある奴はいる?」


 シャノンさんの質問に、何人かの冒険者が手を上げる。









 アレクさんに、こちらも二等級のリーダーのエレノアさんに、アイビーと……アイビー!?



 アイビー、グリフォンと戦ったことあるの!?

 僕、初耳なんだけど!


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