オズの宿
『『私たちはどこにも行かないよ?』』
え?
寝る前に色々考えていたら精霊たちから話掛けられた。
『私たちは本当にロゼの魔力を食べてるんじゃないよぉ。そばにいて感じてるだけ』『私たちにも好みの魔力があるの。ロゼの魔力は甘くて温かいの』
『それが好きな精霊が多いだけ。なにか魔法を使うときはその力で魔力は減っちゃうけど』
一度に沢山の精霊を使うと魔力がたくさんいるって事かな?
『そんな感じ』
よくわからないけど、これからもみんな一緒にいてくれるの?
『もちろんだよ~』
たくさんの精霊が飛び回る
魔力が減っても大丈夫なのかな?
『でもロゼはさびしい』
『私たちがいてもさびいしいの』
え?ああ、泣いちゃったからね。
精霊たちはちょっと悲しそうな顔をしている。
「何言っているの?みんなが居てくれたから今まで生きてこれたんだよ?みんなが居なかったら私は壊れて変になってたよ。みんなのおかげだよ。感謝してる。ずっとそばに居てほしいよ。居てくれる?」
これは本音だ。泣いてしまったのはガス抜きだ。バルが甘やかせてくるので気が緩んでしまったようだ。血が繋がってもいないのに叔父と言ってくれる。
本当に嬉しかったのだ。
精霊たちはパァと明るい顔になる。
王都付近になると部屋の明かりも魔術具だ。魔石で明かりが取れるようになっている。魔術具のスイッチを切ると暗くなる。嬉しさ爆発の精霊たちが飛び回る。
ロゼは、この光景がすごくキレイで大好きだ。
黒ちゃんはいつも参加しない。黒ちゃんは5体ロゼの周りにいるのだが、最近3体の子が人型になっている。精霊は人に使われることで鮮明になるらしい。
闇の精霊自体めずらしく、あまり見かけない。でも最近ロゼの周りには3体増えて8体の黒ちゃんがいる。旅をしているからどこかしらから付いてきたのかと思っていたら、そうじゃないようだ。
人型になった黒ちゃんからカタコトで言われた。
『ウマレタノ』と、他の精霊に聞いてみると人が使う事が多くなると産まれるという。私が黒ちゃんを使い過ぎて増えているようだ。
それはこの国にとって大丈夫なことなのかと聞いた。
精霊たちは『大丈夫』だと言う。本当に…?レイジュ様に聞いてみよう。
色々な集落を観光して宿に泊まった。たまにレイジュ様の所にも泊まりもう冬の間、ここにいようかなとロゼは思うもバルに反対された。
人間らしい生活をしなさいと。人を野生児みたいに…
レイジュ様の神木からちょいと先に、昔の人たちが使っていた建物が数件ある。そこをキレイに片づけて、住めるようにした。これならどうだと説得しようとしたが、危ないからと却下された。別にバルの言うことを聞く必要はないが、なんとなく聞いて集落で宿を取ることにした。
雪が積もり、駅馬車が動かなくなる頃、王都に少し近いの集落にある宿に決定する。オレンジの屋根に白い壁がかわいくこじんまりとした宿だ。
ココイズ3号集落のオズの宿
集落にはすべてに集落の名前と番号が振ってある。
オズの宿は緑の髪とオレンジの瞳をした大柄な主人オズと青い髪と瞳をしたスラリとした長身の女将ユユの2人で切り盛りしている。
ちょっと道から外れて可愛くこじんまりとした宿でファミリー用が3部屋、シングル用が1部屋しかなく変な客もこないだろうと思いこの宿に決めた。
ロゼはシングルだ。
バルもここならいいだろうと承諾を貰えた。
宿が決まり、バルはとりあえず自分の屋敷に帰った。
レオンに連絡をしないといけない。ココイズ3号集落にあるメール便を女将に聞き案内してもらった。メール便は集落にある小さな教会の中にあった。
礼をいい、教会に入ると精霊王ヒースが迎える。左の隅に赤い魔術具があった。
先客がいた。身なりのいい男性がメール便を使っている。
丁度いいやり方を見せて貰う。男性が魔術具から少し出ている魔石に触れている。その男性に精霊が1体いる。その精霊も魔術具の魔石に触れている。
精霊は男性を見ながら何やら呟いている。
『ココイズ3号集落のカイの宿、ロイドから王都の3番街のマリアへ 冬の間ここにいる。愛している』
魔石が黄色く光った。男性はスズカを魔術具から取り、ロゼに「おまたせ」と言い帰っていった。風の精霊がロゼに手を振って男性の後を追う。
男性は妻か婚約者に冬の居所を告げるメール便を送ったようだ。
どんなカラクリかと思っていたら精霊が口頭で魔石に伝えていた。その魔石から魔石に伝わって自身の魔力と魔石の力を借りて、教会から送りたい教会に送られている。なんともアナログな。やはりメールではなくFAXだ。
精霊が見えていないとこの魔術具は作れないよね。
過去に精霊が見えていた人がいたんだな。
ロゼは魔術具にスズカを置き、魔石に触れレオンに伝える。
『ココイズ3号集落のオズの宿、ロゼからイージュレンのギルド長レオンへ 元気だ』
ロゼが思ったことを精霊が呟く。魔石は青く光った。送れたようだ。
集落の宿にのんびりと一人で泊っていると、次々にファミリーが訪れる。雪で駅馬車が止まりこの集落で落ち着くファミリーで多くなる。
宿の中は小さな竈や調理できる場所がある。シングルでも同じだ。朝と夕は食事がついているが昼は外に食べに行くか自炊するしかないのである。
昼はレイジュ様の所に行くのでお土産を買って大体そこにいる。たまにバルからメール便が届く。メール便の紙は集落の子供が2ベニー1銅貨2枚で届けてくれる。
「明日の朝そっちに行くから待ってろ」
と、連絡がありレイジュ様の所にも一緒に行ったりする。
メール便代200ベニーだぞ!勿体ないではないか。
毎週、闇の日に一緒に行くことにした。
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