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個性派JK☆勢揃いっ!  作者: M・A・J・O
第一章 高校一年生(一学期)
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第9話 おかし(萌花)

「じゃーね、萌花!」

「はい! また明日!」


 クラスメイトとの別れの挨拶を済ませ、萌花はため息をつく。

 ため息をつく時は様々なパターンがあるが、萌花のそれは安堵の意味だ。


(ふぅ……今日も無事に乗り切ったぞ……!)


 ――敵をつくりたくない。

 その思いが、萌花を突き動かしている。

 敵をつくれば面倒なことになる。

 クラスのみんなに同じように接し、穏やかな高校生活を送るのだ!


「……ん……?」


 ――どこからか甘い匂いが漂う。

 この匂いは……チョコレート?

 周りを見回すと、すぐ隣でその匂いが発生していることに気づいた。


「……美味しい……」

「美味いよなー、これ。いくらでも入るわ」


 たしかこの二人の名前は……美久里と朔良だった気がする。

 その二人が、チョコレートでコーティングされた棒状のお菓子を口に入れてはしゃいでいる。

 ……少し声をかけてみようか。


「えっと、たしか美久里ちゃんと朔良ちゃん……でしたよね?」

「お? あ、たしかお前は……萌花、だったか?」


 萌花が声をかけると、朔良が驚いた様子で目を見開く。

 まさか声をかけられるとは思わなかったのだろう。

 美久里に至っては、朔良の背に隠れて、顔だけを出している。

 ……そこまで怖がられるとは……


「少し甘い匂いがしたから気になってしまって……」

「あー……ごめん、嫌だったか?」

「あ、いや、その……嫌ってわけではないんですが……えっと、私も混ぜてもらえたり……なんて……」


 ――なぜそんな言葉が出たのか、萌花にもわからない。

 だけど、この二人とは親しくなりたい。

 そんな想いが無意識にあったのだろうと思う。


「ほい」


 そう言って、朔良が萌花にお菓子を差し出す。

 それがあまりにも自分の口に近かったので、手で受け取らずに口で受け取った。

 慣れない体験だったが、なぜか楽しい気分になる。


「美味しい……!」

「だろ? よし、三人で食おうぜ!」

「わ、私の分20本ぐらい残しておいてね……」

「あはは。美久里は欲張りだな」


 ――なんて暖かいのだろう。

 萌花は今まで誰にも深入りしなかった。

 面倒なことに巻き込まれたくないから。

 だけど、この二人とは……もう少し踏み入りたい気持ちにさせられる。


(……なんか甘い……)


 朔良にもらったお菓子が、いつもより甘く感じた。


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