表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
個性派JK☆勢揃いっ!  作者: M・A・J・O
第一章 高校一年生(二学期)
70/238

第52話 ねこかぶり(葉奈)

 入学式から2〜3日経った日のことを思い出す。

 その人が“朔良”という名前で呼ばれることを知らなかった頃。

 愛想のいい笑顔を振りまく朔良を見て、思わずその言葉が口をついて出た。


「あんた、猫かぶってるっすよね?」


 葉奈はできるだけ、言葉にトゲがないように気をつける。

 だが、言葉のチョイスがあまりにも直接的すぎて、鋭く響いてしまった。

 でも、後悔はしていない。訊きたかったことを訊いただけなのだから。


「……お、お前……なんでわかったんだ?」


 意外そうに目を見開くも、隠す気はないらしい。

 知られたら知られたで構わない、そんな気持ちが見て取れる。


「んー、勘ってやつっすかね」

「なんだそれ」


 そう恍けると、朔良は演技ではない笑顔を見せる。

 どこか軽かった印象が、等身大の人間という印象に変わった。

 いつもそうやって笑えばいいのに、と葉奈は思う。


「そっちの方がいいっすよ」


 葉奈がそう言って笑うも、朔良は苦しそうに笑うだけだ。

 自分をさらけ出すことが嫌なのだろうか。


 まあ、それはわかる。葉奈も人前で全裸になることには抵抗があるから。

 ……何か違うか。


「なんだろーな。お前が初めてだよ。猫かぶってるの見抜かれたのも、素の方がいいって言われたのも」


 朔良は頭をかきながら、困ったように笑う。

 先ほどの苦々しい笑顔は、反応に窮していたかららしい。


 初めて自分の素を見抜いた人ということなのかは知らないが、朔良は葉奈に懐くこととなる。

 だが、この時の葉奈にはそんなこと知る由もなかった。


「ふっ、うちが特別な力を持っているってことを見せつけちゃったっすね」

「何言ってんだ、お前」


 今はただ、普通に笑い合うだけでいいのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ