第18話 しけんのけっか(萌花)
高校に入学してから初めての定期試験が終わり、一息ついたころにやってくる結果発表。
萌花は、今回の試験に少し手応えを感じていた中学校の試験よりも、若干難易度が易しかった気がする。
(うぅ〜……緊張する……)
だが、この時間はどうにも慣れない。
せめて悪くなければいい。いや、どうせならいい点数の方がいい。
そんな葛藤が、萌花の脳を埋め尽くす。
すっかり優等生キャラが定着してしまった萌花は、悪い点数をとるわけにはいかないのだ。
「じゃあ出席番号順に取りに来てくださーい」
先生がそう言い、一気に教室内にざわざわとした空気が流れた。
みんなが緊張している様子がうかがい知れる。
そして、どんどん自分の順番が近づいてきて、萌花の心臓は危険な状況にいる時のようにバクバク鳴る。
「はい」
「あ、ありがとうございます……っ!」
先生に答案用紙を渡され、萌花は頭を下げながらそれを受け取る。
自分の席に着く前に結果を確認する者もいるが、萌花は自分の席についてからおそるおそる確認した。
ゆっくりと答案用紙を開いていくと、そこには三桁の数字が赤ペンで書かれていた。
「……へぁ?」
あまりに見慣れない数字に、萌花は間の抜けた声が出る。
二桁の上の方の点数はよく見たことがあるが、三桁なんて小学校のテスト以来だ。
(こ、こんな数字取れるんだ……!)
と、萌花が浮かれている頃。
萌花の周囲に座っている人は、あまりの光景に絶句していた。
その理由は、萌花のテストの点数が丸見えになっているから。
本人が隠しているつもりなのかどうかはよくわからないが、完全に見えてしまっている。
だが、本人はそれに気づかず、満足そうに笑っていた。