冒険者になる ②
グロータル街をウェンディと共に色々と観光した。
爺さんを探している時は気づかなかったが、グロータル街には魔法使いが一人もいなかった。
「この街は魔法使いが一人もいないな」
「そうだね、グロータル街は武闘家の街だからね」
それにしても、魔法使いが一人もいないなんてありえるのか?
この世界の人口の半数以上は魔法使いなのに。
「それって、この街が武闘家の街だから魔法使いは来ないのか?」
ウェンディは少し辛そうに応える。
「そうかもしれないね……でも、魔法使いが思っているよりも武闘家は強くてカッコいい職業なんだよ!」
それは、俺も思っている。
爺さんに修行をつけてもらって、武闘家になった身だ。初めて爺さんの武術を見たとき、カッコいいと思ったし。
「あぁ、そうだな! 武闘家は強くてカッコいい職業だ!」
「うん! 私の夢はこの世界のみんなに武闘家は強いってことを証明することなんだよ」
ウェンディは元は魔法使いなのに武闘家になったんだ。ウェンディは武闘家が強いってことを知っている。
「俺も冒険者になって武闘家が強いってことを証明してやる!」
ウェンディは拳を突き上げて言った。
「一緒に頑張ろうね! 私は魔法使いや魔王が相手であろうと負けない武闘家になるよ!」
俺とウェンディの絆が少し深まった瞬間だった。
そして、仕事を終えた爺さんを迎えに領主邸までやってきた。
爺さんは俺達が迎えに来ることをしなかったので少々、驚いた様子だった。
「なんじゃ!? 二人揃って迎えに来てくれたのか?」
「爺さんは俺達の師匠なんだぜ?」
「そうよ! 師匠なんだから当たり前でしょ?」
爺さんの顔が少し赤くなった。
「そうかそうか! 二人共、ありがとうな」
「それじゃあ、ビリー様の修行小屋で晩ご飯にしようか!」
小屋に向かう前に食材を買ってから小屋に帰った。
ウェンディが晩ご飯を作っている間、俺と爺さんは小屋の外で修行をする。
修行のときは上半身を脱ぎ、筋肉の動きを見ながら身体を動かす。
「爺さんは歳を感じさせない身体をしてるよな」
「お主も八年前と違って、相当筋力がついたじゃないか」
「それに、[刹]魔法をあれだけ使いこなすにはかなりの修行を積んだんじゃのう……」
顔には出さなかったが、爺さんに褒められて嬉しかった。
「爺さんは若い頃はどこまで[刹]魔法を使えたんだ?」
「わしか? わしの全盛期の頃は[十刹十唱]が限界じゃったわい」
「お主は隠してはいるが、既に[十刹十唱]を使えるんじゃろ?」
流石に師匠の目は騙せないか。
「なんで、俺が[十刹十唱]まで使えることがわかったんだよ?」
爺さんは笑いながら応えた。
「お主の身体を見た瞬間にすぐにわかったんじゃよ。それに、[十刹十唱]以上の力もつけているのもな」
そこまで見抜かれているとはな。
「お主がジュラルの森から出てから一度も全力で戦ってないことも知っている」
「なんで、そこまで知ってるんだよ?」
爺さんは俺の動きを全てを見ていたのか?
「お主には言ってなかったが、[刹]魔法は全力の力を使うと一週間は動けないぐらいの疲れが出るんじゃよ」
なるほど……コロシアム闘技場は約一週間前だから全力で戦っていたらまだグロータル街には来れてないのか。
流石は俺の師匠だぜ! 強さだけじゃなくて、頭もいいなんてな。
俺は改めて爺さんの凄さがわかった。




