40歳で引きこもりでニートの僕が放火事件を解決した話
「勇者様。放火魔で悪徳魔法使いのリッカは城の牢に閉じ込めました」
「ご苦労。ところで例のグラースは捕まえたのかね」
「全兵力をあげて捜索中です。グラースの住処も含めて街の居住区はあらかた探しましたが見つかりませんでしたので現在は労働区を捜索しています」
「ほう、自分の家に戻っていないとなるとますます怪しいじゃないか。こりゃビンゴかな」
ヒマになったのでさっきの門番のところに戻ってみた。
「勇者様、お疲れ様です」
「うむ。君の証言もあって事件は解決に向かっているよ。ところでさっき魔法使いとガンマン以外にもう一人ここを通過した人間がいるとか言ってたね」
「ああ、魔物ハンターのマイケルですね。彼は気さくで良い奴だって評判なんですよ。何か気になることでも」
「いや…魔物をハンティングできるほどの強者なら宿屋を燃やすことぐらい朝飯前じゃないかと思ってね?」
「あっ…!」
「気付いてしまったようだね。彼が宿屋を燃やしたということに」
「で、でも!リッカが…!いや、グラースが犯人じゃないんですか!?」
「事件の全貌を説明しよう。まずマイケルがここを通過する。デビルウルフ2匹を毛皮を作る業者にでも売りつけた後、宿屋へ向かったんだ。その間にリッカがここを通過して自宅へ戻り、服を着替えた後で宿屋へ向かったんだ。最後にグラースがここを通過して一目散に宿屋へ向かった。3人集まったところで宿屋に火をつけたのさ」
「あっ…!そうか、1人で放火するより3人で放火した方が効率が良いから…」
「そう。しかしその合理的な考え方が逆に犯人特定につながってしまったわけだ」
「深い…」
「マイケルを捕まえろ!!!!!!!奴は容疑者…いや、犯人だ!!!!!」
そして僕は先ほど門番に話した自分の推理を国内放送で国民の皆さんに知らせた。
「勇者です。皆さん、放火犯は全員牢に閉じ込めましたのでご安心ください」
「勇者様はすげえや!ハハ、この国で悪いことはもうできねえやな!」
「勇者様は強いだけじゃなくて頭脳まで一流か!」
「すげえ」