40歳で引きこもりでニートの僕が異世界に行った話
僕の名前は田中ぶり男。職歴はない。
高校卒業してから20年以上ひきこもり続けて気がついたら40歳になっていたが、
親はまだ生きてるしマンション持ってるので家賃収入だけで死ぬまで食い続けるつもりさ。
ゲームとかマンガとかも飽きてきたので夜中にぼーっとテレビで外国の風景が流れてるのを見ていると
「死ねーーーーーーー!」
「あーーーーーー!」
俺はとつぜん家に突っ込んできた銀行強盗に射殺された。
普通ならまだ死にたくないとか思ったり死ぬ前にやり損ねたことなどを悔いるのでしょうが僕の場合はちょうどやることがなくなってきて今後の暇つぶしについて考えていたところだったのでなんともはや。
「え!?」
気が付くと僕は異世界転生していた。起きるとそこはベッドの上。
ムクッと体を起こすと近くにいたメイドが言うのでした。
「目覚めたのね勇者様、今日は待ちに待った旅立ちの日ですわね」
よく部屋を見ると壁に剣と盾がたてかけてある。
「鎧を持ってきてくれ。兜も忘れないでくれたまえな」
「ハッ」
メイドが持ってきた鎧と兜を装着し、左手に盾、右手には剣を持つ。
「これから魔王を討伐するわけだが、寝起きでちょっと頭がボケている。おさらいしたいからキミ説明してくれたまえ」
「ハッ。大魔王ジャビーンが世界を滅ぼそうとしているので世界各国は勇者を選出して大魔王を殺そうとしているのでございます。このセントクリスタン王国は抽選で勇者を選ぶことにしまして、先日国民の中から抽選で選出されましたのがあなたです。ほんで今日がその旅立ちの日なんですね」
「ご苦労」
なるほど大筋は分かった。
しかし大魔王を倒せと一口に言うが、それならば腕っぷしの強い人間か頭の回る人間を選ぶのが適当というものだろう。
それなのに国民から無作為に抽選して勇者を選ぶとは。この国の王様は余程やる気がないようだ。
自分の国が選出した勇者が野垂れ死んだって他国の勇者のどれかが大魔王を倒すだろぐらいのスタンスなのだろうか。
せっかく勇者に転生したというのにこれではモチベーションが上がってこない。
あ、でも転生したのだからもしかすると。
剣を振ってみた。しかし剣の重さに振り回されてとてもじゃないが魔物と戦えそうにない。筋力は転生前と変わっていないようだ。
「ファイヤー!」
手のひらから炎を出そうとしたが何も出てこない。特別な魔力が備わったわけでもないらしい。
まぁでも転生したんだから若いだろうしイケメンかもしれんと思い鏡を見てみた。
なんとそこには転生前の僕のブッサイクな顔が映っていた。
すっかりイケメンになって転生したものだと思い込んでいたが、これではあらゆるスペックそのままに変な世界にワープしてしまっただけではないか。
これならばマンションがあるぶん転生前の方がマシだったまであるぞ。
これからどうする。