55話 魔王軍、襲来! 4
明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。
福袋で天草が出てその後なんとなくガチャシミュやったら三回とも天草という。なんですか?リンガーハット行けってことですか?
「でな?その第四隊長のやつがまた面倒なやつでな?何を考えておるのか一切分からんのだ。仏頂面で固定ならばまだ目を見れば分かるのだが、ずーーっと目を細めてニコニコしとるから本当に分からんのだ」
「あー…たまにいるよなーそういう人」
あの後正直に名前を明かしたルヴィスは、ただいるだけでは暇だという理由でリィスの話し相手になっていた。唐突に指名されたと同時に喋り始めたため、拒否することも出来ずにこうして聞き手に徹している。
その間に他の三人も気付いた頃にはどこかへ行ってしまっていたので、擦り付けようとすることは半ば諦めている。
「そう、いるにはいる。が、あそこまであの表情から何も変わらない者などあやつしかおらんのでは無いかというレベルだ。戦力としては頼りになるのだがいかんせん胡散臭く感じる…」
「そりゃなー……あぁ違うそうじゃない。リィス、なんで俺を指名したんだ?別にシオンとかノエルとかレミアにも頼めただろうに」
「む?そりゃあ、即バレするような嘘を堂々と我に使うその度胸が気に入ったからだ。そこらの壺売り初心者でももうちょっと頑張るぞ?」
「そこらの壺売り以下なのか…」
「嘘のつき方に関してはまぁ、そうだな。それ以外にも色々と理由はあるのだが、特に言わんでも良いだろう。全部ひっくるめて気に入ったということなのだからな」
「はぁ……」
「さて、お主のことについても終わったし話の続きと行こう。あやつは珍しい武器を扱っておってな、いくら放浪種といえども想像のつかないような代物を使っておるのだが……」
ここに来てルヴィスはようやく悟った。これは終わらないやつだ、ということに。
「だっしゃらああぁ!燃えろ燃えろぉ!」
「なんというか、荒れてるわね。『フレアピラー』」
「昨日散々話につきあわされたらしいからな。『鬼閃刃』!…鬱憤が溜まってるのかもしれん」
「……うん。劣だとマジで目くらましくらいにしか使えないっぽいなぁ。火傷付与できるつっても低確率だし」
四日目、結局夜までぶっ続けで話に付き合わされたことで昨日イベントを一切進められなかったルヴィスはその恨みを目の前のアサルトスライムにぶつけていた。
その途中で例の酒草爆弾を使ったがやはり実用化は難しいと判断したようで、今は使わなかった分をアイテムボックスに再び戻している。
「んーーー、やっぱり使えても強力なチャッカマンとかだな」
「あ、俺にも一つくれないか?思いついたことがあってな」
「…?まぁ、いいけど」
「にしてもさっきの、使うと凄い匂いするわね。青臭いのと火薬臭いのが混ざり合ってる感じ」
「あぁ、確かにするな。…これでなんか引き寄せるとか無いよな?」
「そんなこと無いだろ、寧ろ逃げてく方の匂いなんじゃないか?」
そう言いながらもルヴィスが先程『危険察知』から進化し、ドラ○ンレーダーのようなミニマップが脳内に浮かぶようになった『危険感知』によって念のため周囲を警戒していると、様々な方向から敵マーカーが中々な速度で接近していることに気付いた。
「……シオン、大当たりだ。なんかめっちゃ来てる、数は十ちょっと」
「オイマジかよ。あれもう使うの封印したほうがいいレベルじゃねぇか」
「来たわよ!」
「うん、アサルトスライムがあの匂いに引き寄せられるのかどうかは知らないけど封印したほうが良いな……」
「是非ともそうしてくれ…いつか死ぬぞ俺達」
「死んでもリスポーンするとはいえ、死にたくはないものね…」
『鬼化』が途中で時間切れになるなどの危ない点はあったが、三人はどうにか戦闘を乗り越えた。
結局何故あれだけの数が襲いかかってきたのかは謎なままではあるが、大体酒草爆弾のせいだろうと判断することにした。使った後にこんなことになっては仕方の無いことだろう。
「なんつーか、昼前なのにもう疲れたな…まだ帰るつもりはないが」
「ポーションの残りは…まだあるな。じゃあ少し休憩したらまたやるかぁ」
「そうね。…あ、『魔族化』のLvが10になってる」
「おぉ、おめ。なんか新しく覚えたか?」
「確認するわ。……うん、覚えてるわね。次の戦闘にでも使ってみる」
「オッケー、ならその機会はすぐ来ると思う」
「すぐって…もしかして近くにいる?」
「あぁ、そうだな。……そこか、『四ノ剣-上弦!」
シオンが上弦を発動した直後に激突したのはアサルトスライム、ではなく痺小鬼の短剣。防がれたと見るや彼らは一斉に姿を表して三人を包囲するが、そのうち他より装備がしっかりしている槍持ちの一体だけは包囲網から離れて後ろにいる。
「「「「「「ギャギャギャ……!」」」」」」
「アサルトスライムじゃなかったか。あとシオン、あの後ろにいるやつ多分痺中鬼だ」
「そうっぽいな。ノエル、この状況で新戦技は使えるか?」
「むしろ好都合ね。二人とも、足止めをお願いできるかしら?『魔族化』」
「了解、この数なら…集咆二人で使えばいけるか。シオン、それでいいか?」
「足止めならそうだな。よし、やるぞ」
そして二人は同時に発動の事前動作として息を吸い、そしてお前達の相手は俺達だと言わんばかりに鬼の咆哮を放つ。
「「『集咆』オォ!」」
「ガッ!?…ゲェア!ア゛ァ!」
「「「「「「ギェアアァァ!!!」」」」」」
「っしゃ来いやァ!」
「よし…、〈我が願う混沌に秩序は不要。怒り、嗤い、嘆き、苦しみ、どこまでもどこまでも堕ちていけ。破滅を体現するはこの一振り。砕けよ、潰れよ、滅べ滅べ滅べ!!」
詠唱が始められると、彼女の周囲にこの世のものとは思えないような色をした何かが集まりだす。その何かは次第にハンマーのような形状になっていき、更にその禍々しさを増していく。
ここまで来ると痺中鬼もその異変に気付き、慌ててルヴィス達からノエルに襲撃対象を向けようとする。
「グェアッ!?ギャ、ギィエア!!」
「やらせるかってんだよ、『三ノ剣-三日月』!」
「〈魔晶よ、ここに在れ〉!『クリスタルクリエイト』オラァ!ついでにそっちも!」
「「「ギャヒィ!?」」」
「〜〜ッ!ギョグア、グォアァァア!!」
二人がそれぞれ痺小鬼に向けて放った戦技は、半数を再びこちらに意識を向けさせた。残りの半数もノエルの方に向かいかけていたが、咄嗟にルヴィスが放った酒草爆弾の炎上に怯み動きを止める。
そのザマに痺れを切らしたのか、遂に痺中鬼がノエルに向かって襲いかかる。
「さあ、何もかも等しく均せ!〉『破滅誘ウ神殺ノ魔鎚』!!ハァッ!」
だがその槍が彼女に届く事は無く、逆に全力で打ち据えられた悍ましい色のハンマーは痺中鬼に直撃した瞬間にその形を崩して霧のようになり辺りに拡がっていく。
「……?ギャギャ、ギヒィ!!…ギェ?」
「っ、MP凄い量持ってかれるわね……でもその分成果は出たわ…!」
「っ、おい急にあいつら消えたぞ!?どこ行った?」
「分からん。いや、一体だけあそこにいるな。『三ノ剣-三日月』!でもあっちに向かってたのって痺中鬼だけ……まさか」
「…そう、シオンの予測で多分合ってるわ。さっきの戦技は要するに強制ランクダウン、モンスターが一段階進化していたら一つ前に、進化していないのであれば強制消滅させるわ。範囲は……こちらが敵と認識して更に見える範囲にいるのが条件ね」




